世界で1番近い君と、1番遠い初恋
一人残された木の影で、私がぽつりと佇んでいた、その時だった。
ザッ、と砂利を踏みつける足音が聞こえ、私は弾かれたように振り向いた。
夏の眩しい日差しと影の境界線────
そこに立っていたのは、幸平だった。
「……幸平?」
幸平は、夏の日差しの中にいるとは思えないほど、顔から血の気が完全に引いた蒼白な顔で立っていた。
唇は激しく震え、目を見開いて私を見つめている。
手元で握りしめられた拳は、白くなるほど強く力が込められていた。
「瑠華……お前、さっき……なんて言ったんだよ」
蝉の声にかき消されそうなほど、幸平の声はか細く、掠れていた。
「……え?」
「『忘れられない人がいる』って……『一番はあの人しかいない』って……っ! お前、向こうにいた頃から……ずっと、誰も付き合わなかったのか!? 誰からの告白も、全部そうやって断ってきたのかよ……っ!」
幸平の瞳に、溢れんばかりの涙が溜まっていく。