世界で1番近い君と、1番遠い初恋
学校が終わった放課後、真っ赤な夕焼けに染まる近所の小さな公園。
二人でよく登っていたジャングルジムのてっぺんで、私は膝を抱えながら、ずっと言えずにいた言葉をポツリと絞り出した。
「……私ね、夏休みが終わったら、引っ越さなきゃいけないの。」
隣でブランコの鎖をガチャガチャといじっていた幸平の手が、ピタリと止まった。
「……え? 引っ越しって……どこに?」
「すっごく遠く。電車に乗っても、すぐには来られないくらい遠いところ。……もう、この学校にも来られないの。」
幸平は最初、私がからかっているのだと思って
「またそんな冗談言ってー」
とヘラヘラ笑おうとした。
けれど、下を向いたままポロポロと涙をこぼし始めた私の顔を見て、一瞬で顔から血の気が引いていった。
「ウソだろ? なんで急に? やだよ、瑠華がいなくなったら、俺…。俺は、どうすればいいんだよ…っ。」
幸平の声が激しく震えていた。
あんなにいつも無邪気に笑っていた幸平が、見たこともないような絶望した顔で私を見つめていた。