一か月だけの契約妻のはずが、恋愛経験ゼロの私を社長が溺愛してきます
 けれど、婚活は夢を見るだけでは進まない。
 大切なのは、理想と現実の間にある、自分自身の現在地を知ること。
 今の自分には何ができて、何を変えていけるのか。
 そして、どんな相手となら無理をせず、自然体で一緒に歩いていけるのか。
 それが、結婚への最初の一歩だと思っている。
 ただし、現実を突きつけて終わりではない。
 その人自身の魅力を見つけ、何を大切にしたいのかを一緒に整理する。
 譲れない条件と、実は手放してもいい条件を見極め、その人に合った相手を探していく。
 そのためには、会員様自身がまだ気づいていない魅力を見つけることも必要になる。
 プロフィールに書かれている情報だけでは、その人のすべてはわからない。
 実際に話をしてみなければわからないこともあるし、何度か会って初めて見えてくる一面もある。
 だから私は、会員様の話を聞くときには、できるだけ先入観を持たないようにしている。
 条件だけを見て、この人にはこのタイプが合う、と決めつけてしまえば、本当なら相性のいい相手との出会いを逃してしまうかもしれないからだ。
 それが、私の仕事だ。
 私はこれまで、何人もの会員を成婚へと送り出してきた。
 もちろん、すべてが順調だったわけではない。
 何度紹介してもなかなかお見合いまで進まない人もいれば、お見合いをしても一度きりで終わってしまう人もいる。
 ときには、会員様自身が「もう婚活をやめたい」と弱音を吐くことだってある。
 そんなときは、こちらまで落ち込んでしまいそうになる。
 それでも、ある日突然、「この人となら」と思える相手に出会う人もいる。
 その瞬間に立ち会えることが、私は好きだった。
 だからこそ、会員の夢をただ肯定するのではなく、ときには現実へ引き戻すことも必要だと思っている。
 厳しいことを言えば、嫌われてしまうかもしれない。
 それでも、その人が本当に幸せになるために必要なことなら、伝えなければならない。
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