氷の君に、恋の歌を。
第五章
昼休みの教室は、いつも通りにぎやかだった。
友達同士の笑い声や、机を寄せてお弁当を食べる音があちこちに広がっている。
乃愛も席で友達と話していたけれど、朝からずっと落ち着かなかった。
理由はわかっている。
昨日、屋上で蓮斗とキスしたからだ。
思い出すたびに顔が熱くなる。
しかも隣の席では、その原因の本人がいつもと変わらない顔で本を読んでいる。
どうしてそんなに平然としていられるのか不思議でたまらない。
「乃愛ちゃん、なんか今日ずっと顔赤くない?」
友達に言われて、乃愛はびくっと肩を揺らした。
「え、そ、そんなことないよ」
「あるある。もしかして恋してる?」
「っ……!」
あまりにも鋭いひと言に、乃愛は返事に詰まる。
その反応だけで、周りの子たちが一気にざわついた。
「え、なになに!」
「ほんとに?」
「相手だれ!?」
「ち、違っ……」
あわてて否定しようとした、そのときだった。
教室の後ろのドアが開いて、朝比奈悠真がひょこっと顔をのぞかせた。
「森下さん、ちょっといい?」
その瞬間、教室の空気がさらに騒がしくなる。
「え、朝比奈先輩じゃん」
「乃愛ちゃん知り合いなの?」
「なんかすごくない?」
注目が一気に集まって、乃愛は困ったように立ち上がる。
「朝比奈くん、どうしたの?」
悠真は笑いながら、小さな紙袋を差し出した。
「この前言ってたおすすめのど飴。練習で喉使うかなって思って」
「わ、ありがとう」
やさしい気づかいに、乃愛は素直に受け取ろうとする。
そのとき。
紙袋の持ち手に、別の手が重なった。
友達同士の笑い声や、机を寄せてお弁当を食べる音があちこちに広がっている。
乃愛も席で友達と話していたけれど、朝からずっと落ち着かなかった。
理由はわかっている。
昨日、屋上で蓮斗とキスしたからだ。
思い出すたびに顔が熱くなる。
しかも隣の席では、その原因の本人がいつもと変わらない顔で本を読んでいる。
どうしてそんなに平然としていられるのか不思議でたまらない。
「乃愛ちゃん、なんか今日ずっと顔赤くない?」
友達に言われて、乃愛はびくっと肩を揺らした。
「え、そ、そんなことないよ」
「あるある。もしかして恋してる?」
「っ……!」
あまりにも鋭いひと言に、乃愛は返事に詰まる。
その反応だけで、周りの子たちが一気にざわついた。
「え、なになに!」
「ほんとに?」
「相手だれ!?」
「ち、違っ……」
あわてて否定しようとした、そのときだった。
教室の後ろのドアが開いて、朝比奈悠真がひょこっと顔をのぞかせた。
「森下さん、ちょっといい?」
その瞬間、教室の空気がさらに騒がしくなる。
「え、朝比奈先輩じゃん」
「乃愛ちゃん知り合いなの?」
「なんかすごくない?」
注目が一気に集まって、乃愛は困ったように立ち上がる。
「朝比奈くん、どうしたの?」
悠真は笑いながら、小さな紙袋を差し出した。
「この前言ってたおすすめのど飴。練習で喉使うかなって思って」
「わ、ありがとう」
やさしい気づかいに、乃愛は素直に受け取ろうとする。
そのとき。
紙袋の持ち手に、別の手が重なった。