氷の君に、恋の歌を。

第十四章

夕暮れの教室。
蓮斗の腕の中は、あたたかくて苦しいくらい心地よかった。

乃愛は彼の制服をきゅっとつかんだまま、胸の高鳴りを必死に落ち着かせようとする。
でも無理だった。
こんなに近くで、こんなに大事に抱きしめられて、平気でいられるわけがない。

「乃愛」

頭の上から落ちてきた声は、いつもより少しかすれていた。

「……なに?」

「好き」

あまりにもまっすぐで、あまりにも近い。
たった二文字なのに、胸の奥まで熱くなる。

乃愛はぎゅっとまつげを伏せた。
自分も言いたい。
同じくらい、ちゃんと伝えたい。

「私も、好き」

小さく返すと、蓮斗の腕が少しだけ強くなる。
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