ギャルが異世界にトリップしたら、暗殺一家の大公子とスパダリ婚する事になりました

15.異世界で、カーディアック家仲直り始動!後編

同時刻 中部街 マダムロザリアの店舗の作業室

ロザリアはで手慣れた手付きで壁紙を作り、完成させた壁紙通りに布をハサミで丁寧に切って行く。

作業部屋には数体のマネキン達は華やかなドレスが着せられ、従業員達が手縫いでパールを糸で縫い、オー
ダーメイドのドレスの制作を進めていた。

「ロザリア様、こちらのドレス仕上げを終えました。最終確認をお願いします!」

「分かったわ、見せてちょうだい」

従業員に声をかけられたロザリアはハサミを机の上に置き、エメラルドグリーンの背中が大胆に開いたマーメイドドレスを着たマネキンに近付く。

胸元部分に縫われたパールが上品に輝き、背中部分には小ぶりのパールが二連のネックレスのようにつけられ、布自体には同じ色で薔薇の花が刺繍されている。

ロザリアは隅々まで確認して生き、声をかけてきた従業員に声をかけた。

「うん、綺麗に縫えているわね。丁寧に畳んでから箱に詰めて」

「かしこまりました、ロザリア様」

「そっちのドレスは?進捗は?」

「はい、ロザリア様!ドレスの裾にレースが半分程、縫えました。あと10分で、仕上げれます」

淡いブルー色のプリンセスラインのドレスの裾を塗っている従業員は、手を止めずにロザリアの問いかけに答える。

「次の夜会までには間に合いそうね、そのまま進めてちょうだい」

「かしこまりました、ロザリア様」

「ロザリア、夜会用のドレス10着の仕上げ作業は完了したわ。最終確認の方だけしてちょうだい」

茶髪のショートカットのスーツ姿の女性が、ロザリアを少し大きな声で呼ぶ。

「さすが、マイヤの班ね。分かった、すぐ行く」

「そんな事ないわ、貴方の班の方が仕事量は多いじゃないの。私の班の子達にも手伝わせるから」

「ありがとう、マイヤ!私の右腕はマイヤだけね」

「調子の良い事言って、昔から変わらないんだから」

マイヤと呼ばれた女性はロザリアの幼少期からの幼馴染であり、モーガナーク家と言う伯爵家の御令嬢である。

モーガナーク家では主に洋服で使われる布や生地、レースなどの取引をになっており、ロザリアのブランドのマダムロザリアとも取引をしているが、マイヤはロザリアの右腕として働いていた。

「今回のドレス達も素敵ね、ロザリアのセンスが輝いてる」

「ちょっと褒め過ぎじゃない?私は私の好きなドレスを作っているだけだもの」

「それが良いのよ、お客様もロザリアのセンスを好いて、ドレスを注文してるんだから」

「マイヤに言われると嬉しいわ。ふふ、うちの娘もね?私のドレスを褒めてくれるの」

ロザリアの言葉を聞いたマイヤは、優しく微笑みながら口を開き言葉を吐く。

「養子に迎えた子だったわよね?ロザリア、昔から子供が出来たら自分が作った服を着せたいって言ってたものね。でも驚いたわ、貴方達夫婦が養子を迎えるなんて…」

「そうよねぇ、私の体が子供を産めないから…、シュバルトに迷惑をかけていたもの。私の好きにドレスを作らせてくれて、お店も持たせてくいれてるのにって思ってたの」

「ロザリア…」

「私の娘、芣婭って名前なんだけどね?すっごく可愛いのよ。素直だし、私にも懐いてくれて…」

2人が話をしている中、作業部屋の扉を激しくノックし、部屋の中に店の店員をしている若い女性が顔を青くして入ってくる。

何事かと思ったマイヤは慌てて女性店員に近付き、「何かあったの?」と尋ねると、女性店員は声を震わせながら答えた。

「こ、皇太子殿下がいっらしゃいました!!!ロ、ロザリア様に、お会いしたいとの事で…っ」

「皇太子殿下が!?」

女性店員の言葉を聞いたマイヤは目を見開いて驚き、ロザリアは冷静な態度を取って指示をする。

「分かったわ、すぐにご挨拶に伺うわ。貴方は客室でおもてなしが出来るように支度を」

「か、かしこまりました」

「マイヤ、貴方は作業部屋に残ってくれる?私は皇太子殿下のお相手をするから」

「分かったわ、作業は進めておくから」

マイヤに作業部屋に残ってもらい、ロザリアはすぐに皇太子殿下が待つ店内に向かう。

手鏡でメイクの確認をしてから店内に入ると、黒髪のショートの女のを連れた皇太子殿下ルカリオ・A・オルティスが白騎士団(ホワイトナイト)を連れて立っていた。

大きなルビーの宝石が装飾されたネクタイピンが眩く光り、店内に戻ってきたロザリアに微笑みかける。
「こんにちはマダム、忙しそうだね」

「お初にお目にかかります、皇太子殿下」

ルカリオの前で跪き、ロザリアは丁寧な挨拶をすると、ルカリオはロザリアの手に触れて彼女を立たせた。

「女性にそんな事はさせられないな、男は良いけどね。マダム、貴方に話が合って店に寄らせてもらったよ」

「話…ですか、かしこまりました。客室がございますので、そちらで話を伺っても宜しいでしょうか?」

「あぁ、案内してもらおうか」

「かしこまりました、こちらでございます」

ロザリアはすぐにルカリオと連れの女の子、白騎士団(ホワイトナイト)の騎士数人を連れて客室の案内すると、先程の女性店員がタイミングよく紅茶を運んでくる。

ルカリオ以外の客人達はソファーに座らず立ったまま、対面に座るロザリアに視線を向けた。

「皇太子殿下、お話と言うのは…」

「ロールベルク家が養子を迎えたと、風の噂で聞いてね?かなりの美人らしいね」

「え?あ、はい。うちの娘は凄く可愛いです。私達には勿体ないくらいに良い子ですわ。皇太子殿下のお耳に入ってるとは思いもしませんでしたわ」

「聞いてないかな?僕と彼女が公爵が経営している魔法省で、顔を合わせて会話をした事を」

甘野芣婭からルカリオと会った事は軽く聞いていたが、自分に会いに来た理由がロザリアには分からなかった。

顔色を伺いながらロザリアが紅茶を口に運ぶと、ルカリオは前のめりになって言葉を吐く。

「君の所の娘と婚約したいと考えているんだ」

「え?」

ルカリオの口から出た言葉は、ロザリアが自身も耳を疑うものだった。

***

中部街 カーディアック家 ギルベルトの寝室

甘野芣婭 (17歳)

部屋の中に入って来たのはライムグリーンの瞳の黒髪の可愛い男の子で、どことなくギルベルト君に似ている気がする。

執事おじと一緒に来たみたいだけど…?

「お、久しぶりです、あ、兄上」

「ジオン…」

男の子はギルベルト君の事を兄上って呼んだと言う事は、2人はBROTHERで間違いない。

だけど、2人の間に流れている空気が重すぎるんです
ど!?

え、何?兄弟なのに仲良くないって事?

確かに仲良くない兄妹もいると思うけど、男のは6歳くらいだよね?

ギルベルト君が21歳くらいだとして、歳の離れた兄弟って仲が良いシーンを動画で見た事があるけど…。

「別宅から出て来たのか、ジオン」

「あ、兄上がのろいでたおれたって聞いて…。おみまいに来ました」

「そうか」

「…、お体だはだいじょうぶですか?」

「あぁ、問題ない」

2人の会話は一門一答の会話を繰り広げ、ギルベルト君が話を膨らませないから話がすぐに終わってしまう。

マジでなんだ、なんだこれ!?

君達、本当に兄弟なの!?それにしても壁があり過ぎでしょ!?

そんな事を考えていると男の子と目が合い、芣婭は男の子にゆっくり近づいて目線に合わせる為に体勢を低くする。

「こんにちわぁ、芣婭って名前だよ、よろしくね!」

「あ、あの」

「可愛いねぇ、ギルベルト君の呪いはね?芣婭が魔法で止めたから大丈夫だよ」

「お姉ちゃんが?す、すごい!まほうでなおしたの!?」

「マジ?褒めてくれるの?ちょー、嬉しい!」

男の子は緊張が少しずつほぐれて来たようで、表情が明るくなり話し方もフランクになってきた。

それにしてもマジで、ここの家系は美が果てしなく強いな。

この子も将来、大人になったらギルベルト君やイケおじみたいにカッコよくなるんだろうなぁ。

「お姉ちゃんは兄上のおともだち?」

「「え」」

男の子の言葉を聞いた芣婭とギルベルト君の声が重なり、芣婭達はお互いの顔を見つめ合う。

芣婭達ってどう言う関係なんだろう?友達って言われれば友達なのかな?

でも、友達だったらほっぺたにちゅーしたりしないよね?

ギルベルト君に本人に芣婭達は友達なの?って聞けたら良いのに、ギルベルト君からどんな言葉が返ってくるか分からないから怖い。

そう思いながらギルベルト君に視線を向けると、ギルベルト君もどう答えたら良いのか分からないようだ。

「この2人は良い感じなの、友達じゃないですね」

「エリア!?」

「エリっち!?」

芣婭達の代わりに男の子の問い掛け代わりにエリっちが答え、再び芣婭ろギルベルト君の声が重なる。

「おともだちじゃないけど、仲良しさんってこと?」

「そんな感じで良いと思いますよ。この人は凄く優しいので、心を開いても問題ないですよ」

「おねえちゃん、ボクと仲良くしてくれる?」

エリっちの言葉を聞いた男の子は、顔を少し赤くさせて芣婭の手を握って様子を伺ってきた。

その姿が凄く可愛くて、男の子がこんな風に甘えて来る姿は母性本能を動かされてしまう。

「勿論!仲良しさんしよ?ジオン君って呼んでも良いかな?」

「う、うん!」

ふと、ジオン君の右手首の内側が視界に入り、芣婭と同じように月マークのタトゥーらしきものが刻まれているのが見えた。

「ねぇ、ジオン君。もしかして、芣婭と同じで悪魔と契約してるの?」

芣婭の言葉を聞いたギルベルト君、エリっち、シーちゃんの3人は驚いた顔をしてジオン君の右手首の内側に視線を向ける。

ギルベルト君達に反応を見ると、ジオン君が悪魔と契約している事は知らないようだ。

「あくま?ハウラスのこと?ハウラスは、ぼくのともだちだよ?お姉ちゃんもあくま?のおともだちがいるの」

「うん、ケロちゃんとベロちゃんって言うの。へー、ケロちゃん達以外の悪魔って見た事ないなぁ。どんな感じなんだとろ」

「ハウラスはね、すっごくきれいなんだ!ボクの事をすきって言ってくれて、ボクの側にいてくれるんだ!お姉ちゃんともともだちになってほしいな」

「うんうん、ジオン君はハウラスって悪魔の事が大好きなんだね。芣婭もケロちゃんとベロちゃんの事が大好きだよ」

ジオン君と話していると、ギルベルト君が芣婭と同じ体勢になってジオンと視線を合わせ、芣婭の手とジオン君の手を優しく握る。

ギルベルト君の突然の行動にジオン君は凄く驚いてたけど、ギルベルト君がジオン君に優しく声をかけた。

「ジオン、お前が悪魔と契約していた事を知らなかった。ここに来る前から、手紙を送ってきてくれていたのに返事を書けなくてすまなかった」

「あ、兄上はおいそがしいから、おへんじを書けないのはとうぜんです」

「お前との交流を断ち切った事に、理由を付けては駄目なんだ。ジオンに寂しい思いをさせていた事、気付いていたのに何もしてやれなかった。すまなかった」

「兄上…、ボクのこと嫌いではないですか?母上をしなせたボクのこと、嫌いじゃないですか?」

今にも泣き出しそうなジオン君の口から出た言葉は、ギルベルト君の表情を歪ますのに十分な言葉だった。

母上を死なせたって、ギルベルト君のお母さんはジオン君の事を産んで死んじゃったって事?

ギルベルト君とジオン君の間に、こんな大きな問題があるとは思ってもみなかった。

「ジオン、母上が死んだのはお前の所為じゃない。自
分が産まれて来たから死んだとか、産まれてこなければ良かったなんて思うな。ジオンがそう思っていると母上が知ったら、悲しむぞ。母上がジオンに会いたくて、ジオンの事を産んだんだから」

「あ、兄上ぇ、ぎゅうってしてもいいですか?」

「おいで、ジオン」

両手を広げたギルベルト君の胸の中にジオン君は飛び込み、声を出さずに泣いている事が分かる。

ジオン君はずっと1人で悩んで苦しんで、誰にも相談できなかったんだ。

自分を産んだ所為で、お母さんが死んでしまった事を家族の誰にも相談できなくて、契約した悪魔のハウラスだけが心の拠り所だったんだろう。

ギルベルト君とジオン君の2人が一歩踏み出した事
で、2人の間にあった壁が薄くなっていったんだ。

良いなぁ、家族ってこう言うものなんだよねぇ。

芣婭に家とは大違い、お兄ちゃんだけが芣婭に寄り添ってくれて、お母さんが暴走した時は止めてくれて助かったな。

お兄ちゃん…、きっと心配してる。

芣婭の事を警察に言って、今も芣婭の事を探し回って
る筈、心配させてるのに、芣婭は元の世界に帰りたく
ないって思うのは悪い事だよね。

そう思いながら、ギルベルト君達から視線を逸らした。

***

ギルベルトの寝室の外で、オルタニアとハウラスの2人がギルベルトとジオンの2人の会話を静かに聞いてた。

ジオンの言葉を聞いたガルシアは、唇を強く噛みしめて眉間を押さえる事しか出来ない。

6歳の子供が抱える悩みにしてはあまりにも大きく、父親であるガルシアの想像以上にジオンが苦しんでいた事に、今になってガルシアは思い知らされたのだ。

「ジオンは十分に苦しんだよ、6歳の子供には重過ぎるくらいだ。アンタ、ジオンの事をもっと苦しめたいのか」

「そんなつもりはなかった、ジオンを苦しめるつもりはなかったんだ。俺が向きあえなかった、サーシャと同じ瞳を宿したジオンの顔を見てしまったら…、サーシャの事を思い出してしまうから」

「アンタさ、自分が思ってる以上に嫁の事が好きだったんだな。思い出すから、ジオンの事を6年も乳母と使用人達にまかせたのか?誕生日だけ祝えば良いと思ってたんだよな」

ハウラスはそう言って、隣にいるオルタニアの事を睨みつける。

「お前だけじゃない、ジオンだって母親を亡くして悲しかったんだ。自分を産んだ所為でって、毎晩(うな)されてる。家族にしか分からない悲しみだろ、苦しみだろ?アンタ、ジオンの父親だろ。抱き締めて、一緒に悲しんでやれよ。ジオンが一番求めてる
のはお前だろ」

冷たく光るレモンイエローの瞳から、オルタニアは視線を逃がす事が出来ない。

自分の息子を守護する白豹の悪魔が主人の心を守る為、ジオンの心を傷つけたオルタニアの事を食い殺そうとしている視線だったからだ。

「向きあえ、現実を受け入れろ。今、お前が大事にするべき存在は誰だ」

「っ…、ジオンだ」

ハウラスの言葉を聞いたオルタニアはギルベルトの寝室の扉を開け、6年ぶりにジオンと顔を合わせる。

部屋に入って来たオルタニアから隠れるように、ギルベルトの背中に回りこっそりとオルタニアに視線を向けた。

自分とジオンの間にある距離を思い知ったオルタニアは、眉毛を下げながらジオンを見つめる。

「ジオン」

「ち、父上、ご、ごめんなさい。ボクがうまれたせいで、母上が死んでしまいました」

ジオンが泣きながらオルタニアに謝罪すると、オルタニアの瞳が潤み、視界が歪む。

6年ぶりに会った息子からの第一声は、自分に対する謝罪と母親を殺してしまった事への謝罪だった。

「ジオン、俺はお前が産まれてこなければなんて思った事はない。俺とサーシャの子供なんだ、後悔なんてする訳がない。お前の悪魔に言われて気が付いたんだ」

「ハウラスに?なにを言われたのですか?」

「妻、サーシャの事を俺は想像以上に愛していたのだと。俺が今、誰を大切にしないといけないかを」

「父上…」

「ここに呼んだのも、お前と向き合いたかったからだ。サーシャの死に向き合え切れなかったのは俺自身だっんだな」

オルタニアは苦笑しながら、ジオンの目線に合わせて体勢を低くして手を伸ばす。

ギルベルトとサバサ、マーヴィンの3人は、オルタニアの変化に驚いていた。

「少しずつ、親子に戻ろう。ジオンのペースに合わせて行く、すまなかった」

「父上の手にさわってもいいですか?」

「あ、あぁ、勿論だ」

オルタニアの返答を聞いたジオンは恐る恐る近付き、差し出された手に触れるとオルタニアに優しく抱き締められる。

ジオンはオルタニアの胸に顔を押し付け、グリグリと顔を動かしながら背中に手を回す。

その光景を見ていたハウラスは踵を返すように廊下を歩き出すと、前から血塗れのケルベロスの2人が歩いてくるのが見えた。

「お前、ハウラスか?何でここにいんだよ」

「それはこっちの台詞だ、血塗れになって…。俺の主
人の前に、その姿で現れるな」

「え、何だって?お前、人間と契約したの?人間嫌いだったお前が?」

ベロちゃんの言葉を聞いたハウラスは、舌打ちをしながら視線を逸らす。

「お前等には関係ないだろ、同じように人間と契約しているくせに。部屋の中にいる女が、お前等の主人だろ。ケルベロスを飼い慣らせるなんてな、もう1匹はどうした」

「アイツなら、この国の王族の誰かと契約してますよ」

「誰と契約しているかどうかは気にならないが、お前等の主人について聞きたい事がある。ケルベロスの2人が血塗れな事と関係しているんだろ」

「芣婭の事が気になるのですか?もしかして、惚れました?貴方」

「は?何馬鹿な事を言ってるんだ。お前等の主人、魔性の女(エンチャトレス)だろ?レイラ姫の気配もした、人間界に降りてきたのか」

ケロちゃんの軽口を叩いてから、ケルベロスの2人に尋ねる。

2人は少し考えてから、ハウラスの問いに「そうだ」と一言で答えると、ハウラスは深い溜め息を吐く。

「他の悪魔達から狙われるぞ、特にアスタロトからだ。アイツは魔性の女(エンチャトレス)にもレイラ姫にも執着していただろ。その血も、人間界に降りて来た悪魔達を殺してから来たんだろ?ギルベルトの呪いの進行を止める為に、お前等の主人は魔性の女(エンチャトレス)を使った。使う前に止めるべきじゃなかったのか」

「勿論、止めたさ。だけど、うちのお姫様に守るって約束されちまったらさ?約束道りに守らないといけないだろ?」

「へぇ、驚いた。まさか、お前の口からそんな言葉が出るとは思わなかった。レイラ姫以外に、守りたいと思う人物が現れるとはな」

「それは、お互い様だろハウラス。人間の…、しかも子供と契約するなんてなぁ?思いもしなかったぜ」

ベロちゃんとハウラスが話をしていると、3人の前に紫色の魔法陣が現れ、中から現れたのはダンタリオン
の城にたコウモリだった。

「はぁ、はぁ!あ!ケルベロス様、ハウラス様!3人が揃っていて良かったです!」

「あ?テメェは…、ダンタリオンの所のコウモリ野郎じゃねーか」

「コウモリ野郎!?うぅ、相変わらず口が悪いですねぇ。ダンタリオン様にも、野郎なんて言われ事はないのに!!!」

ベロちゃんの言葉を聞いたコウモリは大声で泣き出し、ベロちゃんの頭の周りで羽を大げさに羽ばたかせる。

バサバサッ!!!

「ちょっ!?何すんだ、テメェ!!!殺すぞ!?」

「ひぃ!?殺すのはやめてくださいよぉ!」

「うるさいですよ、2人のやり取りが耳障りです。何か用事があって来たんでしょ?何ですか」

「あ、そうでした!ダンタリオン様から命令されたのでした!」

言い合いをしていたコウモリだったが、ケロちゃんの言葉を聞いたコウモリは3人の前に移動して話をする。

「ダンタリオン様から招集のお声が掛かりました!レイラ様の護衛を任されていた悪魔達に全員は、ダンタリオン様の城に集まれとの事です!」

「招集って、何百年もしてなかったじゃないか。今更、何の用だ」

「レイラ様の妹君の件についてとの事で…」

「妹…って、ケルベロスの主人の事か。レイラ姫と血が繋がっていたのか?」

不思議に思ったハウラスはケルベロスの2人に尋ねると、ケロちゃんが「姫が勝手に呼んでいるだけです」と答えた。

ダンタリオンの招集を断る訳にはいかないが、自分達の主人の側を離れて魔界に行く事が3人の後ろ髪を引かれる思いをさせていた。

「断るのは…」

「ナシです、絶対にナシです!そんな事をされたら、私が殺されてしまいますよ!?やめてくださいよ!?」

「はぁ…、だよなぁー。行くしかねぇのか」

「何を悩む必要があるんですか?芣婭も連れて行けばいいじゃないですか、魔界に」

「「「はぁ!?」」」

ケロちゃんの言葉を聞いたベロちゃん、ハウレス、コウモリ達は、驚愕の表情を浮かべながら叫んだ。
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