無自覚に胸キュンさせてくる御曹司が対処しにくい。
「私の方こそごめんなさい。そうだよね、せっかくまた仲良く話せるようになったんだもんね」

もう言わないから、とニコッと笑顔を作りながら私の心では反省ばかりが流れていた。

(もっとちゃんと考えて言えば良かったよね)

(私から煌也くんに距離を取るんじゃ先生としてあり得ないし)

(プロでもなんでもないんだから、せめてもっと考え抜いて話すべきだったに決まっている)

そんな思考を巡らせて少しの間だけ黙ってしまった私の顔を、煌也くんが心配そうに覗き込んだ。

「藤香ちゃん、大丈夫?」

「あ、うん! 全然大丈夫!」

「本当に?」

「もちろん。それより今日は何から勉強……」

その言葉は途中で言えなくなった。

気付いたら、先ほど離してくれたはずの腕がもう一度掴まれて……いつの間にか私はソファに寝転んで、煌也くんの顔が目の前にある。

煌也くんが私を押し倒している。

「煌也くん!?」

「藤香ちゃん、反省してたでしょ」

「っ!!」

「それくらい分かる。藤香ちゃんは真面目だから。だから、ちゃんと聞いて。今の話で藤香ちゃんが悪いところなんて一つもない」

「でも、私は一応教育係としての責任が……」

無意識に言い返そうとして、我に返って言葉を止める。
< 19 / 66 >

この作品をシェア

pagetop