迷子ちゃんのお迎え係
第一章 迷子とお兄さん
第1話:最高な恋の最悪なはじまり
「うーん・・・迷った。」
参ったなぁ。
私は昔からこうなんだ。
今日はそれなりに楽しみにしていた会社の飲み会だった。
新入職員にイケメンがいるらしい。
その噂だけで先輩たちは妙に浮き足だっていた。
もちろん私も噂の新人と聞けばやっぱりちょっとだけ気にはなる。
だってイケメンだし。
本当はちゃんとお化粧を直したりしたかったのに、今日に限って少し残業してしまって、時間ギリギリだ。
オフィスカジュアルの当たり障りのない普通な格好に、真面目全開のまとめ髪と最低限の薄化粧。
どこをとっても平々凡々、それが私。
そして、少しだけどんくさいところもある。
残業を断れないし知らない顔して退勤できない不器用、いや、真面目と言って欲しい。
時間は飲み会開始5分前、携帯の充電は残り5%、そして極め付けは・・・
「また私迷子なの・・・?もう〜!」
昔から方向音痴なのだ。
東京での暮らしももう2年目となるのに、少し知らない土地に来たらすぐこうなんだ。
駅に降り立つことはできた。
出口も迷わず出れた。
ここからが鬼門。
マップを見たってわかんないし、携帯の充電はないし、これは困った。
誰かこの辺に詳しそうな人に聞くしかない。
近くの自動販売機で背を向けている人に声をかけた。
「あの、すみませーん」
「・・・あ?」
「うわぁっ」
振り返った男の人は、思ったよりも怖かった。
おしゃれな街に似合うおしゃれな人と思って安直に声をかけたのが間違いだった。
黒と紫のツートンカラーのイカつい長めの髪、低めのだるそうな声、高めの身長。
そして何より、顔が治安悪い。
「なんだよそのリアクション。お前が話しかけたんだろうが」
「いやそうなんだけど・・・思ったよりも怖い系だった」
「何引いてんだ。ど直球に失礼なやつじゃねーか」
「へへへ、申し訳ない」
「軽すぎ」
「ところでお兄さん、この辺詳しいですか?私ちょっと迷子でして」
「・・・あ?逆ナンならついていかねーぞ」
「え?逆ナン?」
「ん?」
「自意識過剰では?」
「・・・お前なぁ」
「そんなことより助けて。ここ行きたいの」
怖いお兄さんは何か言いたげだったけど、そんなことより、私は時間がない。
あと5分で飲み会が始まっちゃうの。
「逆方向」
「え?」
「出口反対の方が近い」
「マジか」
出口は迷わず出れたと思ったのに、まさか違う出口から出ていたとは。
「てことは、こっち行けば良いのかな?」
「だから逆だっつの」
「えぇ〜・・・」
地図を見ても、逆だと聞いても、ピンとこなかった。
「・・・はぁ、ついてこい」
「え?」
「途中まで送る」
「いいんですか!?やったー!」
歩き出すお兄さんの後ろをのこのことついて歩いた。
「お前さぁ」
「はい?」
「もう知らねーやつについていくなよ」
「ついてこいって言ったのに?」
「俺が悪いやつだったらどうすんだ」
「あ〜・・・それは考えてなかった」
「バカヤロウ」
「初対面で失礼では?」
「お前には言われたくねぇわ」
「あははっ!お兄さんウケるね〜」
「わけわかんねー女だな」
お兄さんは深いため息をついて心底呆れた顔をしていた。
これが私、鹿目凛花(かのめりんか)と、彼、黒川蓮也(くろかわれんや)の出会いだった。
参ったなぁ。
私は昔からこうなんだ。
今日はそれなりに楽しみにしていた会社の飲み会だった。
新入職員にイケメンがいるらしい。
その噂だけで先輩たちは妙に浮き足だっていた。
もちろん私も噂の新人と聞けばやっぱりちょっとだけ気にはなる。
だってイケメンだし。
本当はちゃんとお化粧を直したりしたかったのに、今日に限って少し残業してしまって、時間ギリギリだ。
オフィスカジュアルの当たり障りのない普通な格好に、真面目全開のまとめ髪と最低限の薄化粧。
どこをとっても平々凡々、それが私。
そして、少しだけどんくさいところもある。
残業を断れないし知らない顔して退勤できない不器用、いや、真面目と言って欲しい。
時間は飲み会開始5分前、携帯の充電は残り5%、そして極め付けは・・・
「また私迷子なの・・・?もう〜!」
昔から方向音痴なのだ。
東京での暮らしももう2年目となるのに、少し知らない土地に来たらすぐこうなんだ。
駅に降り立つことはできた。
出口も迷わず出れた。
ここからが鬼門。
マップを見たってわかんないし、携帯の充電はないし、これは困った。
誰かこの辺に詳しそうな人に聞くしかない。
近くの自動販売機で背を向けている人に声をかけた。
「あの、すみませーん」
「・・・あ?」
「うわぁっ」
振り返った男の人は、思ったよりも怖かった。
おしゃれな街に似合うおしゃれな人と思って安直に声をかけたのが間違いだった。
黒と紫のツートンカラーのイカつい長めの髪、低めのだるそうな声、高めの身長。
そして何より、顔が治安悪い。
「なんだよそのリアクション。お前が話しかけたんだろうが」
「いやそうなんだけど・・・思ったよりも怖い系だった」
「何引いてんだ。ど直球に失礼なやつじゃねーか」
「へへへ、申し訳ない」
「軽すぎ」
「ところでお兄さん、この辺詳しいですか?私ちょっと迷子でして」
「・・・あ?逆ナンならついていかねーぞ」
「え?逆ナン?」
「ん?」
「自意識過剰では?」
「・・・お前なぁ」
「そんなことより助けて。ここ行きたいの」
怖いお兄さんは何か言いたげだったけど、そんなことより、私は時間がない。
あと5分で飲み会が始まっちゃうの。
「逆方向」
「え?」
「出口反対の方が近い」
「マジか」
出口は迷わず出れたと思ったのに、まさか違う出口から出ていたとは。
「てことは、こっち行けば良いのかな?」
「だから逆だっつの」
「えぇ〜・・・」
地図を見ても、逆だと聞いても、ピンとこなかった。
「・・・はぁ、ついてこい」
「え?」
「途中まで送る」
「いいんですか!?やったー!」
歩き出すお兄さんの後ろをのこのことついて歩いた。
「お前さぁ」
「はい?」
「もう知らねーやつについていくなよ」
「ついてこいって言ったのに?」
「俺が悪いやつだったらどうすんだ」
「あ〜・・・それは考えてなかった」
「バカヤロウ」
「初対面で失礼では?」
「お前には言われたくねぇわ」
「あははっ!お兄さんウケるね〜」
「わけわかんねー女だな」
お兄さんは深いため息をついて心底呆れた顔をしていた。
これが私、鹿目凛花(かのめりんか)と、彼、黒川蓮也(くろかわれんや)の出会いだった。