『冥府の門番は今日も忙しい!――聞いてないぞ! 死神が仕事放棄とか!――』
天界へ向かう転移門は、冥府庁のものとは比べものにならないほど静かだった。
白い光が足元からゆっくりと立ち昇り、視界を包んだと思った次の瞬間には、空気そのものが変わっている。冥府のひんやりとした空気とは違う柔らかな温かさが全身を包み、頭上にはどこまでも淡い青空が広がっていた。
遠くには白銀の塔が幾つも浮かび、その間を翼を持つ天界人たちが行き交っている。ところどころでは金色の光を纏った巨大な鳥まで悠然と空を飛び、久しぶりに来た俺ですら一瞬目を奪われるのだから、子どもたちにとってはなおさらだった。
「すごーい!」
転移した瞬間から目を輝かせていた朔が走り出そうとしたため、すぐに襟を掴んで引き戻す。
「走るなよ」
「だって広いもん」
「広くても駄目だ」
灯里が面白そうに笑う。
「パパ、ここで迷子になったら?」
「探すけど面倒だから迷子になるな」
「パパらしい」
何だ、その納得の仕方。
千景はそんな俺たちを見ながら、小さく笑っていた。
「でも、本当に久しぶりね」
「お前が来るのは久しぶりか」
「灯里たちが小さい頃以来じゃない?」
言われてみれば確かにそうだった。
母さんが孫たちだけを天界へ連れていくことは時々あったが、俺と千景まで揃って来ることは滅多にない。そもそも俺自身、必要がなければ天界へ来ようとはしなかった。
嫌いなわけじゃない。ただ、ここへ来ると妙に疲れる。
白い光が足元からゆっくりと立ち昇り、視界を包んだと思った次の瞬間には、空気そのものが変わっている。冥府のひんやりとした空気とは違う柔らかな温かさが全身を包み、頭上にはどこまでも淡い青空が広がっていた。
遠くには白銀の塔が幾つも浮かび、その間を翼を持つ天界人たちが行き交っている。ところどころでは金色の光を纏った巨大な鳥まで悠然と空を飛び、久しぶりに来た俺ですら一瞬目を奪われるのだから、子どもたちにとってはなおさらだった。
「すごーい!」
転移した瞬間から目を輝かせていた朔が走り出そうとしたため、すぐに襟を掴んで引き戻す。
「走るなよ」
「だって広いもん」
「広くても駄目だ」
灯里が面白そうに笑う。
「パパ、ここで迷子になったら?」
「探すけど面倒だから迷子になるな」
「パパらしい」
何だ、その納得の仕方。
千景はそんな俺たちを見ながら、小さく笑っていた。
「でも、本当に久しぶりね」
「お前が来るのは久しぶりか」
「灯里たちが小さい頃以来じゃない?」
言われてみれば確かにそうだった。
母さんが孫たちだけを天界へ連れていくことは時々あったが、俺と千景まで揃って来ることは滅多にない。そもそも俺自身、必要がなければ天界へ来ようとはしなかった。
嫌いなわけじゃない。ただ、ここへ来ると妙に疲れる。