その青は沈む
女性が出ていったあとで、彼はテーブルの上に置いた煙草を取って、少し顔を上げて、僕を見てきた。
「助かった。お前が来なかったら、もっと食い下がられてた……」そう言って彼は、体を起こしてから、椅子へ深く沈んだ。
「僕は、何も……」
そう、文字通り立って、ただ見ていただけだ。悔しいけど……、いや、そういうことじゃない。素直になりたいけど、言葉が出てこない。分かってはいたけど、彼と僕には、とても大きな差がある。
「いや、何もしてなくはない。お前、携帯持ってただろ」そう言う彼の声は穏やかだった。
そして、「俺が携帯を持てば、相手も警戒する。だから、お前が来てくれて助かった。ありがとう」と言った。
「どう……いたしまして……」
初めて聞いた言葉で、強がりなんて言えなかった。唇を噛んだままで、何とか堪えて、彼に言った。
「……ご飯でも頼もうか、何がいい?」
「じゃあ、ハンバーグ」
「子どもか……」
嬉しいのか、悲しいのか、よく分からないけど、彼と知り合えて良かったと思う。
「そういえば、柚月は?」と、彼は煙草を吸いながら聞いてくる。
「さっき受付に行ったけど、いなかった」そう返して、携帯で食事を注文した。
そしたら、彼が携帯を取り出して、「近所のファミレス行ってるみたいだ、帰りは散歩してくるらしい」と言って、少し笑ってた。
「柚月ちゃんらしいね」と言って、僕も笑った。
二人で食事をしてから、歌詞を書いたり、修正作業に没頭した。何枚目かの修正が終わった時、彼が大きな息を吐き出した。
「そろそろ、この辺にしとくか」と言いながら、携帯を見て、すぐに立って、受付のほうを見ていた。そしてまた携帯を見て、難しい顔をした。
「どうかした?」彼と同じような顔をして見たら、「いや、近所の公園にいるらしい」と言った。
「じゃあ、迎えに行って、ご飯食べてから、送って行く」そう言いながら、紙をファイルに仕舞って、カーディガンを羽織った。
「悪いな」と彼が言うから、「いや、お昼にも言ったじゃん。夕飯に誘おうかなって」と笑って言うと、「そうだったな……」と言って、首元を掻いた。
『あ、いま嫌な顔した』と思って、すぐに腹が立った。
「夜景でも見にいっちゃおうかなぁ」とニヤついて見たら、彼は僕を見て、鼻息を飛ばした。でも、彼はすぐ普通の顔に戻った。
「まぁ、二十四時までには家に帰せ」と彼は言って、また椅子に座った。
『そんな遅くならんわ』と顔で圧をかけてみたけど、やっぱり効果はないようだった。
「助かった。お前が来なかったら、もっと食い下がられてた……」そう言って彼は、体を起こしてから、椅子へ深く沈んだ。
「僕は、何も……」
そう、文字通り立って、ただ見ていただけだ。悔しいけど……、いや、そういうことじゃない。素直になりたいけど、言葉が出てこない。分かってはいたけど、彼と僕には、とても大きな差がある。
「いや、何もしてなくはない。お前、携帯持ってただろ」そう言う彼の声は穏やかだった。
そして、「俺が携帯を持てば、相手も警戒する。だから、お前が来てくれて助かった。ありがとう」と言った。
「どう……いたしまして……」
初めて聞いた言葉で、強がりなんて言えなかった。唇を噛んだままで、何とか堪えて、彼に言った。
「……ご飯でも頼もうか、何がいい?」
「じゃあ、ハンバーグ」
「子どもか……」
嬉しいのか、悲しいのか、よく分からないけど、彼と知り合えて良かったと思う。
「そういえば、柚月は?」と、彼は煙草を吸いながら聞いてくる。
「さっき受付に行ったけど、いなかった」そう返して、携帯で食事を注文した。
そしたら、彼が携帯を取り出して、「近所のファミレス行ってるみたいだ、帰りは散歩してくるらしい」と言って、少し笑ってた。
「柚月ちゃんらしいね」と言って、僕も笑った。
二人で食事をしてから、歌詞を書いたり、修正作業に没頭した。何枚目かの修正が終わった時、彼が大きな息を吐き出した。
「そろそろ、この辺にしとくか」と言いながら、携帯を見て、すぐに立って、受付のほうを見ていた。そしてまた携帯を見て、難しい顔をした。
「どうかした?」彼と同じような顔をして見たら、「いや、近所の公園にいるらしい」と言った。
「じゃあ、迎えに行って、ご飯食べてから、送って行く」そう言いながら、紙をファイルに仕舞って、カーディガンを羽織った。
「悪いな」と彼が言うから、「いや、お昼にも言ったじゃん。夕飯に誘おうかなって」と笑って言うと、「そうだったな……」と言って、首元を掻いた。
『あ、いま嫌な顔した』と思って、すぐに腹が立った。
「夜景でも見にいっちゃおうかなぁ」とニヤついて見たら、彼は僕を見て、鼻息を飛ばした。でも、彼はすぐ普通の顔に戻った。
「まぁ、二十四時までには家に帰せ」と彼は言って、また椅子に座った。
『そんな遅くならんわ』と顔で圧をかけてみたけど、やっぱり効果はないようだった。