幼なじみの蓮くんが、最近なんか甘い

放課後。

教室に残っていた結菜は、窓の外を眺めながら蓮を待っていた。

夕方の光が教室に入り込み、机の上に長い影を作っている。

いつもなら、蓮が来るまで友達と話したり、スマホを見たりして時間を潰している。

でも今日は、何をしていても落ち着かなかった。

昨日一緒に過ごした時間を思い出してしまうからだ。

ゲームをしているときの蓮。

笑っていた蓮。

自分の手にカイロを渡してくれた蓮。

そして、何気なく言った。

『結菜といる時間』

その言葉を思い出すたび、胸の奥がくすぐったくなる。

自分も同じなのだろうか。

蓮といる時間が好き。

一緒に帰るのが嬉しい。

会えないと寂しい。

蓮が笑っていると嬉しくなる。

もっと知りたいと思う。

それは、幼なじみだからなのだろうか。

それとも――。


「……」


そこまで考えて、結菜は首を横に振った。

考えすぎ。

きっとそう。

今までずっと一緒だったから、最近になって改めて蓮のことを意識するようになっただけ。

そうに決まっている。

それなのに。

教室の入り口に蓮の姿が見えた瞬間。

結菜の表情は自然と明るくなった。

そのことだけは、自分でも誤魔化せなかった。

蓮がこちらへ歩いてくる。

その姿を見ているだけで、心が少し軽くなる。

結菜は小さく笑った。

――やっぱり、蓮が来ると嬉しい。

その理由だけは、まだ分からなかった。
< 50 / 61 >

この作品をシェア

pagetop