幼なじみの蓮くんが、最近なんか甘い
コンビニでそれぞれ好きなものを選び、店を出る。
結菜は新しいお菓子を買った。
「これ、食べてみたかったんだ」
「甘そう」
「蓮、甘いもの好きじゃん」
「好きだけど、これは結構甘そう」
「じゃあ一口食べてみる?」
いつものように軽く言った。
けれど、蓮が一瞬だけこちらを見る。
「いいの?」
「うん」
蓮は少し迷ってから、お菓子を一口食べた。
「……甘い」
「やっぱり?」
「でも、うまい」
その感想を聞いただけなのに、なぜか嬉しくなる。
「じゃあ、私も」
同じものを一口食べる。
確かに甘い。
二人で顔を見合わせて、同時に笑った。
昔から何度もしてきたこと。
お菓子を分けたり、飲み物を交換したり。
それなのに。
最近は、こういう小さな出来事まで特別に感じる。
帰り道の途中で、蓮が買ったお菓子を見せてくる。
「これ、結菜も好きそう」
「本当?」
「たぶん」
「じゃあ次買ってみる」
そんな何気ない会話が続く。
話している内容は、本当にどうでもいいことばかり。
でも、結菜は楽しかった。
何を話すかより、誰と話しているかのほうが大事なのかもしれない。
そんなことを考えて、少しだけ胸が苦しくなる。
蓮といる時間が好き。
それは、もう認めてもいい気がした。
ただ。
その「好き」が、幼なじみに向ける好きなのか。
それとも別のものなのか。
そこだけは、まだ分からなかった。