幼なじみの蓮くんが、最近なんか甘い


家の近くまで来る。

いつもの分かれ道。


「じゃあ、また明日」

「うん。また明日」


蓮が手を振る。

私も手を振り返す。

少しずつ離れていく背中を見ながら、私は昨日とは違うことを考えていた。

昨日までは。


「明日も会える」


それが嬉しかった。

今は。


「明日も好きな人に会える」


そう思う。

同じ「会える」なのに、意味が全然違う。

家に帰って、ベッドに座る。

今日一日を思い返してみる。

朝、会えたこと。

名前を呼ばれたこと。

隣で歩いたこと。

数学を教えてくれたこと。

笑ってくれたこと。

心配してくれたこと。

全部、今までにもあったこと。

でも今日からは。

その一つ一つが、宝物みたいに思える。


「好きだと気づいたら……こんなに変わるんだ」


少し恥ずかしい。

でも、不思議と嫌じゃなかった。

むしろ。

もっと蓮のことを知りたい。

もっと話したい。

もっと一緒にいたい。

そんな気持ちが、どんどん大きくなっていく。

私は枕を抱きしめながら、目を閉じた。

明日も会える。

それだけで、明日が楽しみになる。

昨日までと同じ毎日。

同じ幼なじみ。

同じ帰り道。

なのに。

私の中ではもう、何もかもが違って見えていた。
< 81 / 177 >

この作品をシェア

pagetop