加納欄の入院 シリーズ32シーズン4
しばらくして、大山先輩と幸田さんは病室を出ていった。

夕方。

「苫利さん、お薬ですよ」

看護師さんが、薬を持って入ってきた。

「ありがとうございます」

苫利先輩が薬を受け取る。

その瞬間――。

苫利先輩の眉が、ピクリと動いた。

薬を裏返し、もう一度見る。

…………?

あたしは、苫利先輩の顔を見た。

明らかに様子がおかしい。

「どうしたんですか?」

「いや……なんでもないよ」

そう言って笑ったけど、苫利先輩の目は、薬から離れない。

看護師さんが病室を出ていく。

ドアが閉まると、苫利先輩は薬をあたしの目の前に差し出した。

いつも飲んでいる薬と、形も色も違う。

…………これ。

苫利先輩の薬じゃない。
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