身代わり特待生、はじめました。~双子の妹のフリして、御曹司に恋してます~
「今学期の終わりに、特別留学プログラムの最終選考があるの。特待生の中から、たった二人だけ。一年間、学費も渡航費も全部免除で、海外の提携校に行けるんだって」
「留学……」
「わたし、将来は英語を使う仕事がしたいの。だから、ずっとこの日のために、頑張ってきたのに」
琴葉の瞳から、涙が一粒、こぼれた。
「その選考って、面接一回で決まるものじゃないの。選考日まで、先生たちが授業も提出物も行事への取り組みも、毎日ずっと見て、積み重ねで評価するんだって。だから、その間ずっと学校にいなきゃいけなくて。途中で長く休んだら、その時点で対象から外れちゃう」
琴葉が震える指で、ベッドのそばのカレンダーを指した。
「選考まで、あと四十五日しかないの」
四十五日。数字にされると、急に現実味を帯びて、喉の奥がきゅっと締めつけられた。
いつも完璧で、どこか遠い世界にいるように見えていた妹。羨ましくて、少しだけ眩しかった琴葉が今、肩を震わせて今にも消えてしまいそうな女の子として目の前にいる。
「彩葉ちゃん、お願い」
震える声で、琴葉は続けた。
「わたしのフリをして、学校に行ってくれない? 選考が終わるまでの、四十五日だけでいいの」
「え?」
「お願い。顔がそっくりな、彩葉ちゃんにしか頼めないことなの」
琴葉が、私の手をぎゅっと握ってくる。
琴葉のフリをして、学校に行く? 何を言ってるの、この子は。