普通の貴族だと思って結婚したら、身分を隠して潜伏する王太子様でしたー!? ……離婚します!
 だって、彼の父親……現王は、王国を救うためとはいえ、縁者すべてを皆殺しにしているのだ。

 ……私一人、その死者の葬列に加わったところで、何がどうだというの。

「ですが、私はアルベルト様と離婚したいです。これは、騙されて結婚したようなもの。間違いなく信頼し合えるような、そんな関係にはなれません。お願いします。離婚してください」

 もしかしたら、私以外の女性であれば身分を隠した美形王子様との結婚に舞い上がり、身分隠しのことなど問題なしとするのかもしれない。

 けれど、私は普通の貴族として普通の生活をしたい。望んでいることは、ただそれだけなのだ。

 いきなり未来の王族になりますと伝えられても『それは嫌です』と答えるしかない。

 アルベルトは悲しそうな表情になると、ふうっと息をついた。

「わかった。僕も相手に嫌われながら、結婚生活を続けるのは悲しい。それでは、白い結婚でいこう。二年経って子どもがいなければ、父も納得するだろう。僕も離婚は残念だが、お互いにそのほうが後腐れなくて済む」

「わかりました……では、そういうことで」

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