最強男子の過保護な溺愛が止まりません!

第八話 警告文と、離してくれない腕

 割れた窓から吹きこんだ夜風が、古い廊下を冷たく抜けていく。

 私は氷河ノ先輩に抱き込まれたまま、しばらく動けなかった。
 胸の奥がどくどくとうるさい。
 怖かったのもある。
 でも、それだけじゃない。

「……胡桃」

 耳元で落ちた低い声に、肩がぴくっと震える。

「ケガしてないか」

「だ、大丈夫です……」

「ほんとか」

「ほ、ほんとに」

 そう答えても、先輩の腕はなかなか離れない。
 むしろ、まだ少し強く抱き寄せられた気さえした。

「氷河先輩、過保護すぎ」

 いおりくんの声が飛ぶ。
 私はその一言で、はっと我に返った。

「わ、私ほんとに大丈夫ですっ」

 あわてて先輩の胸を押す。
 すると氷河ノ先輩は、少しだけ間を置いてから、ようやく腕をゆるめた。

「……無事ならいい」

 短い言葉。
 でもその顔は、さっきまでよりずっと険しい。

 床に刺さった黒い矢のようなものへ、朔が静かに近づいた。

「紙が巻いてある」

「触るな」

 氷河ノ先輩がすぐに制する。

「罠の可能性もある」

「わかってる」

 朔は低く返して、その場にしゃがみこんだ。
 直接手では触れず、制服のハンカチで紙だけを外す。

 さすがというか、慣れてるというか。
 みんな普通の高校生じゃない感じが、今さらながらすごい。
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