私の運命の人
「先生、私明日にはケロッと治ってると思うんですよね」

アパートに着くと冷蔵庫の残り物で五目チャーハンと中華スープまで作ってくれた先生に、私は真剣に切り出した。

「だからもう大丈夫です。これまでありがとうございました」

有無を言わさぬように頭を下げると、先生はため息をつく。

「そんな魔法みたいなことあるわけないでしょう?」
「あるんですよ、これが。病院でもらった薬を飲んだら痛みも消えましたし」
「それは痛み止めだからです。ケガが治って痛みが引いたのではありません」

うぐっと言葉に詰まりつつ、私は負けじとまた顔を上げた。

「だけど、その、学校まで来られると噂が心配で……」
「ああ、そうですよね」

途端に先生は語気を弱めてうつむく。

「すみません。出過ぎた真似をしていることは自覚しています。だけどどうしても気になってしまって。うっとうしいとは思いますが、せめてあと一日、送り迎えをさせてもらえませんか?」

じっと見つめられて私はドギマギした。
そこまで言われては断れるはずもない。
そもそもケガをした私をこんなにも献身的にサポートしてくれるなんて、こちらが感謝してもし切れないほどだ。

「ではお言葉に甘えて。明日もよろしくお願いします」

改めて頭を下げると、先生はホッとしたように「よかった」と呟く。

「今、お茶を淹れますね。それを飲んだらさっさと帰りますから」
「いえ、どうぞお気遣いなく」

なんだか変な会話だが、先生は妙に嬉しそうだった。
ぼんやりとその後ろ姿を見ているうちに、私はデジャヴのような感覚を覚える。

(あれ? どこかでこんなことあった気がする)

すると先生が振り返り、お茶を運んで来た。

「どうぞ」
「ありがとうございます」

その時、おとといもこうしてお茶を淹れてくれたことを思い出した。
デジャヴはそのせいだろう。
私はそう自分に言い聞かせてお茶を飲んだ。
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