加納欄の冤罪シリーズ33シーズン4
「……ごめんなさい」

小山内さんが首を横に振った。

「大丈夫です。じゃあ、別のこと聞きますね」

あたしは手帳のページをめくった。

「最初に触られてから、吉井さんの腕を掴むまで、どのくらいでした?」

「……五分くらいだと思います」

「その間、ずっと?」

「ずっとじゃないです。離れたり、また触られたり……」

「触られ方は?」

小山内さんの表情が曇った。

「最初は、お尻を……そのあと、腰とか……」

あたしは黙って頷いた。

「途中で、触ってくる手が変わったような感じは?」

「え?」

「右からだったのが左からになったとか、手の大きさとか、触り方とか」

小山内さんはしばらく考え込んだ。

「……そこまでは、分かりません」

「そうですよね」

怖い思いをしている最中に、そんなことまで確認できるはずがない。

あたしは手帳に、そっとペンを走らせた。
< 22 / 52 >

この作品をシェア

pagetop