加納欄の冤罪シリーズ33シーズン4
「か、課長……」

「なんだ」

「これ……三万円?」

なんだ。

それくらいなら払える。

あたしがホッとした瞬間、課長が紙を指さした。

「よく見ろ」

「え?」

もう一度見る。

三万円じゃない。

三十万円。

「さんじゅうまんえぇぇぇん!?」

「お前が壊した鉄球の弁償代」

課長が指を一本立てる。

「それと、砕けた鉄球が飛んで直撃した商店街の看板」

もう一本。

「看板の本体、取り付け工事、全部込みだ」

「…………」

「合計三十万」

あたしは請求書を握りしめた。

「大山先輩のために頑張ったのにぃ!」

「頼んでねぇ」

「お餅、好きじゃないですか!」

「好きだけど三十万は出さねぇ」

「薄情者ぉ!」

あたしが泣きついても、大山先輩は知らん顔。

高遠先輩は肩を震わせて笑っている。

吉井さんなんて、完全に他人事だ。

「加納くん」

課長があたしを呼ぶ。

「はい……」

「商店街には、ちゃんと謝りに行けよ」

「……はい」

事件は無事解決。

吉井さんの冤罪も晴れ、南署には平和が戻った。

ただし――

あたしの財布に、平和が戻る予定はない。


おわり
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