すれ違い精神医に、陰では溺愛されています
1. 憧れと恋しさ
私の名前は高山莉子(たかやま・りこ)。

28歳の心理士です。

私が勤める大学病院には、たくさんの精神科医がいますが、その中でも難関精神科医と言われるのが、狩倉 北斗(かりくら・ほくと)先生です。

何が難関かというと、

「めんどくさい」


が口癖で。


狩倉先生はとにかく病院に殆ど姿を現さない。


珍しく現しても患者の回診をして、診察をして、直ぐに帰ってしまうのです。


必要な連絡さえ滅多に取れないので、看護師さんからは”すれ違い精神科医”と揶揄されているのです。


そんな狩倉先生の担当の患者さんを任された私は心理士として報告に行くのですが、やはり今日もどこにもいない。


医局を覗くも、


「全く、狩倉先生はどこにいるのかしら」


「俺に何か用?」


「うわぁっ、先生、そこに居たんですか」


「居たもなにも、コーヒー飲んでた」


何その態度。私がどれだけ先生を探したと思ってるのよ。


遂に怒った私は「やる気がないなら、精神科医を辞めてください」とキレてしまいました。


「やるべき責務は果たしている。これ以上を求めるなら、そっちからもなにか寄越せ」


と無茶苦茶なことを言う狩倉先生。


私は咄嗟に

「じゃ、じゃあ、私と付き合ってください」

と応えたところ、

「面白いじゃねぇか」と一言。


これが私と狩倉先生のどたばた日常劇の始まりになろうとは。
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