君の手を掴むための遠回り
「……向こうの学校でも、モテたでしょ? 告白とかされなかったの?」
自分の探るような卑怯な問いかけに、瑠華はまっすぐな目で答えた。
『ううん。……全部断ってたよ』
────ドン、
と頭を鈍器で殴られたような衝撃が走った。
瑠華は約束を守っていたのだ。
9年間、遠く離れた街で、誰からのアプローチも全部断って、俺との約束だけを信じて綺麗なまま待っていてくれた。
それに引き換え、俺はどうだ?
一人になるのが怖くて、寂しさに負けて、心にもない身体の関係まで重ねて逃げ回っていた。
(お前……何やってんだよバカ……っ!)
猛烈な自己嫌悪と罪悪感が波のように押し寄せ、胸が潰れそうだった。
「そっか……瑠華は偉いな」
掠れた声でそう笑ってみせるのが限界だった。
綺麗な瑠華の隣に立つ資格なんて、俺には最初から微塵も残っていなかったのだ。
ズボンのポケットの中で、傷だらけになった星のキーホルダーを強く強く握りしめた。
手のひらに食い込む冷たい金属の痛みが、俺の犯した過ちの深さを残酷に物語っていた。