君の手を掴むための遠回り

​隣の家の明かりが消え、静まり返った自分の部屋にぽつんと一人で取り残されたとき、波のように押し寄せてきたのは猛烈な''恐怖''だった。


​(誰もいない。誰も俺を見てくれない)


​夜の闇が自分を飲み込んでいくような、息もできないほどの圧迫感。

一人でいることが、こんなにも恐ろしいことだなんて知らなかった。

暗闇の中でどれだけ手を伸ばしても、そこにはいつもあった瑠華の温もりは存在しない。

​俺は部屋の隅で膝を抱え、声を押し殺して一晩中泣き明かした。

​掌の中で冷たく冷え切った、星のキーホルダー。

『いつか帰ってくる』
という未来の約束よりも目の前の
『今ここにある孤独』
の方が、幼い俺の心をあまりにも酷く削り取っていた。


​(寂しい……一人にしないでくれ、瑠華……)


​この夜、俺の胸の奥底に深々と刻み込まれた''見捨てられ不安''という歪んだトラウマが、やがて二人を長い遠回りへと引きずり込んでいくことを、当時の俺はまだ知る由もなかった。
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