君の手を掴むための遠回り
────パチン、と。
俺の心の中で、長年俺の魂を強く締め付け、自傷行為へと駆り立てていた
「資格がない」
「自分は汚れている」
という冷たく重い鎖が、音を立てて砕け散った。
許されたのだと思う。
完璧で綺麗な自分でなくてもよかったのだ。
泥まみれで、卑怯で、間違った選択をしてしまった情けない俺のすべてを、瑠華は逃げることなく、ありのまま受け止める覚悟でここにいてくれた。
胸の奥底に溜まっていた暗い泥が、瑠華のぬくもりによって一気に洗い流されていくようだった。
押し寄せる圧倒的な救済と愛しさに、視界が涙で完全に歪む。
「あ……ぁぁぁっ……っ!」
俺は瑠華の背中に必死で手を回し、しがみつくように強く、壊れるほど抱き返した。
あの9年間、誰の手を握っても、誰と肌を重ねても一向に埋まることのなかった心の傷口が、瑠華の温もりによって溶けるように塞がっていく。
「ごめん…ごめん瑠華っ! ずっと好きだった…! 遠回りしてごめん…! 世界で一番、お前だけが好きだ…っ!」
冷たい冬の雨の中、俺たちは泥まみれになりながら、お互いの存在を確かめ合うように子供のように声を上げて泣き続けた。
もう二度と、一人になる恐怖から逃げるために嘘はつかない。
この温もりを、この手を二度と放さないために、俺のこれからの人生のすべてを捧げようと、激しい雨の中で深く深く誓った。