目立たない総務の私ですが、ハイスペック副社長がジレ甘です
「これにて本日の協議は終了です。三ツ橋商事におかれましては、本家(鷹司)の意向に沿った事業体制の再編を――」

​「その必要はございません」

​静まり返った会場に、凛とした真由の声が響き渡った。

​真由が1歩前へ踏み出し、壇上のプロジェクターへ自身の手元の端末を接続する。

スクリーンに一瞬で映し出されたのは、世界地図と網の目のように組み上げられた緻密な資金フロー図だった。

​鷹司側の理事が眉をひそめ、不快感を露わにして怒鳴りつけた。

​「……おい、その資料の作成者は誰だ? 『総務部・市川真由』……?  ふざけるな! 一介の総務部員が、国家級の国際金融プロジェクトの場になぜ口を挟む! 経営と専門金融の何がわかるというのだ!」


​嘲笑が漏れかける会場で、真由はひるむことなく深々と一礼した。

そしてまっすぐに立ち上がると、理事を、そしてその奥に座る宗一郎を見据えた。

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