目立たない総務の私ですが、ハイスペック副社長がジレ甘です
「市川さん、副社長との決裁の前に、まず君の目を通してもらえないだろうか。君の判がなければ、役員会も安心して通せない」

​特に、かつて真由を「ただの書類揃え係」と嘲笑し、理不尽な残業を押し付けていた営業本部長までもが、額に汗を浮かべ、揉み手で伺いを立ててくる。

その姿は滑稽ですらあった。

真由は一切の嫌味や奢りを見せることなく、完璧なプロトコルと的確なリスク指摘をもって、彼らの書類を過不足なく打ち返してみせた。

頭を下げ、逃げるように去っていく男たちの背中に、社内の冷ややかな視線が注がれる。

​「雑務」と蔑まれてきた総務部で泥を啜り、現場のリスクを誰よりも把握してきた日々。

そこから鷹司の背中を守るために世界の金融ロジックを叩き込み、東堂香奈江すら圧倒する洗練された品格を磨き上げた。

​悲劇のヒロインとして身を引くことなど選ばず、己の足で戦い抜いた真由。

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