目立たない総務の私ですが、ハイスペック副社長がジレ甘です
真由は1礼してエレベーターに乗り、鷹司の斜め後ろに立った。

扉が閉まり、静かな駆動音とともにエレベーターが下層へと降りていく。

密室の中に、鷹司が纏う微かなローズウッドの香りが漂っていた。

​2人きりのエレベーター。

沈黙を破ったのは鷹司だった。

​「……資料の手配、助かった」

​「いえ、ちょうど区切りがつくところでしたので。……副社長も、こんな時間までお仕事だったのですね」

​「残務処理だ。……ハーブティーは、口に合ったか」

​真由は唐突な問いかけに、鷹司を見上げた。

鷹司は前方の表示階数を見つめたままだった。

が、その後ろ姿にはいつもの冷徹な役員の仮面とは違う、どこか柔らかいニュアンスがあった。

「はい。とても香りが良くて……毎晩、家で大切に淹れていただいています。とても体が温まります」

真由が素直に気持ちを伝えると、鷹司の視線がゆっくりと真由へと向いた。
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