目立たない総務の私ですが、ハイスペック副社長がジレ甘です
episode13ーーすれ違うたび
あの金曜日の夜から2週間が過ぎようとしていた。

直通の連絡先を得たとはいえ、2人がメッセージを交わすのは、必要最小限の頻度に限られていた。

社内では相変わらず「隙のない副社長」と「総務部の担当者」。

すれ違っても互いに目礼を交わすだけで、誰にも怪しまれることのない平穏な日々が続いていた。

​変化が訪れたのは、小雨の降る水曜日のことだった。

​真由のスマートフォンに、短く通知が入る。

​『明日の夜、少し付き合ってもらえるだろうか。前回の店ではない』

​指定されたのは、木曜日の20時。

本社から少し離れた、落ち着いた街並みに佇むブティックホテルのメインバーだった。

木曜の夜。

真由は指定されたホテルに到着した。

静かな一角にあるメインバーの重厚な扉を開けた。

​店内は落ち着いた暖色系の間接照明が心地よく広がり、上質なジャズが控えめな音量で流れている。
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