目立たない総務の私ですが、ハイスペック副社長がジレ甘です
咎めるような強い口調ではない。

むしろ、上司としての静かな気遣いすら含んだトーン。

しかし、その言葉の意味するものは明確だった。

​「規律を作った本人が、自らそれを曖昧にしようとした」という事実を、完璧な論理で突かれたのだ。

高条の企みは、権力で潰されるまでもなく、彼女自身が提示した「完璧な仕事」というロジックによって自壊した。

​『……申し訳ございません。私の配慮が不足しておりました。以後、徹底いたします』

​「頼む。君の正確さにはいつも助けられている。以上だ」

​鷹司は通話を切ると静かに息をつき、ペンを走らせた。

​権力で相手を力づくで抑え込むのは3流のやることだ。

相手の土俵で、相手のルールを以て、完璧にチェックスメイトをかける。それが、鷹司蓮のやり方だった。

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