最強ヴァンパイアに溺愛されています!
「……怖いなら、もうしない」

ルカはそう言った。
けれどその目は、美月の答えをじっと待っている。

昨夜は怖かった。
でも、今はそれだけじゃない。
この人にふれられるたび、胸が熱くなってしまう。

美月はぎゅっと制服の裾を握りしめ、それから小さく首を横に振った。

「怖くない」

「本当に?」

「……うん」

ルカがゆっくり息をつく。
それは安心したみたいでもあり、限界を耐えるみたいでもあった。

「じゃあ、少しだけ」

囁く声と一緒に、ルカの腕がそっと美月の背に回る。
抱き寄せられた体温は思ったより近くて、逃げられないくらいどきどきする。

「目、閉じろ」

言われるままにまぶたを閉じると、額にやわらかい感触が落ちた。
キスだと気づくまでに、数秒かかった。

「え……」

驚いて目を開けると、ルカが少しだけ照れたみたいに目をそらす。

「いきなり首は、また怖がるかもしれないだろ」

その気遣いが優しすぎて、胸がぎゅっとなる。

「ルカくんって、ほんとはすごく甘いんだね」

言うと、ルカは不機嫌そうに眉を寄せた。
でも耳だけが少し赤い。

「お前にだけだ」

その返事に、美月はもう何も言えなくなる。

やがてルカは、美月の首筋へゆっくり顔を寄せた。
昨夜と違って、今度はきちんと待ってくれる。
拒まないと分かってから、そっと唇をふれてくる。

ひやりとした感触。
そのあとにくる小さな痛み。
けれどすぐに、その痛みさえ甘さに変わっていく。

「ん……」

思わずもれた声に、ルカの腕がきゅっと強くなる。
けれど苦しくないように支えてくれているのが分かる。

どれくらいそうしていたのか分からない。
やがてルカがゆっくり顔を上げると、その瞳は熱っぽく揺れていた。

「……やばい」

「え?」

「可愛すぎて、理性飛ぶ」

真顔でそんなことを言われてしまい、美月は一気に真っ赤になる。

「そ、そんなこと……」

「ある」

ルカは即答すると、美月の頬に自分の額をこつんと寄せた。

「今日はこれ以上したら、たぶん止まれない」

低い声が甘すぎて、胸が苦しい。

「だから、帰す」

「帰すって……」

「本当は帰したくない」

ルカの指先が、美月の手をそっと絡めとる。

「でも大事にしたい」

その言葉があまりにもまっすぐで、目の奥が熱くなる。
守るだけじゃない。
欲しいくせに、ちゃんと我慢してくれる。
それがどうしようもなく嬉しかった。
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