最強ヴァンパイアに溺愛されています!
「それなら僕もほしいな」

玲までさらりと混ざってきた。

「白雪さんに名前を呼ばれる朝は、きっと気分がいいだろうし」

「一ノ瀬先輩まで……?」

「だめかな」

そんな優しい顔で言われたら断れない。
美月は恥ずかしさをごまかしながら、小さく笑った。

「おはようございます、玲先輩」

「ありがとう。今日はいい日になりそうだ」

玲が上品に微笑む。
その隣で、奏多がずるいと騒ぎ、夜斗が笑い、教室の空気はすっかりにぎやかになっていた。

でもその中心で、ずっと黙っている人がひとりだけいる。

ルカだった。

静かなまま美月を見つめるその瞳に気づいて、胸がどきりと鳴る。

「……ルカくん?」

名前を呼ぶと、ルカはほんの少しだけ眉を寄せた。

「お前、全員に甘すぎ」

低い声。
その言い方が妙に拗ねていて、美月は目を丸くする。

「え、そんなこと……」

「ある」

即答だった。

教室のみんなが見ているのに、ルカはためらいもなく美月のすぐそばまで来る。
そして机に片手をつき、少しだけ身をかがめた。

「俺には」

「えっ」

「まだ言ってないだろ」

その一言で、美月はようやく気づく。
みんなには朝の挨拶をしたのに、ルカにはちゃんと言っていなかった。

「あ……」

じわっと頬が熱くなる。
周りの視線も集まっていて、余計に恥ずかしい。

でもルカは待っている。
じっと、美月だけを見て。

美月は小さく息を吸ってから、そっと口を開いた。

「お、おはよう……ルカくん」

その瞬間、ルカの目元がふっとやわらいだ。

ほんの小さな変化。
けれどそれが、今日いちばん甘い表情に見えた。

「……ん」

短い返事。
でも満足したのがすぐ分かる。

「それでいい」

ぽん、と頭に手を置かれて、やさしく撫でられる。
教室中の前でそんなことをされて、美月は一気に真っ赤になった。

「きゅ、急に……」

「急じゃない」

ルカは平然としている。
その横で、奏多が抗議し、夜斗が笑い、玲が意味ありげに目を細め、冬真は静かにため息をついた。

朝からこんなに騒がしくて、甘くて、心臓がもたない。
それでも少しだけ思ってしまう。

こんな毎日も、悪くないかもしれないと。
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