最強ヴァンパイアに溺愛されています!
▷▶︎▷第三章

嫉妬がもう隠せません

放課後のチャイムが鳴った瞬間だった。

一日ぶんの緊張がほどけるはずなのに、美月の心臓はむしろ朝からずっと落ち着かないままだった。
昼休みの秘密も、そのあとのルカの視線も、全部が甘すぎて、まだちゃんと整理できていない。

教科書を鞄にしまおうとした、その時。

「美月先輩、今日こそ一緒に帰りましょう」

最初に来たのは奏多だった。
机の前に立って、にこっと笑う。
でもその笑顔の奥に、今日は少しだけ強引さがある。

「え、えっと……」

「昼も九条先輩に取られたし、放課後くらい俺にください」

まっすぐ言われて、美月はどきっとする。
どう返したらいいか迷っていると、後ろから夜斗の声がした。

「それ、俺も賛成」

振り向けば、夜斗が気だるそうに片手を上げている。
けれど目はしっかり笑っていなかった。

「転校生ちゃん、九条にばっか付き合うの不公平だろ」

「不公平って……」

「だってさ」

夜斗は美月の机に軽く手をついて、少しだけかがむ。

「こっちだって、気になってんのに」

低めの声でそんなことを言うから、美月の頬がまた熱くなる。

さらに、教室の入口近くから玲がゆっくり歩いてきた。

「それなら、今日はみんなで帰るのはどうかな」

穏やかな声。
でもその笑顔は、いつもより少しだけ意味深だった。

「白雪さんが困らない方法を選ぶべきだろうし」

「俺は困らせてませんけど」

奏多がすぐ言い返す。

「困らせてるよ」

夜斗が笑いながら口を挟む。

「今もう顔真っ赤じゃん」

「そ、それは……」

言い返せずにいると、椅子の引かれる音がした。
神楽冬真が静かに立ち上がる。

「……白雪」

「え?」

「帰るなら、早いほうがいい」

短いひと言。
でもそれは冬真なりの気遣いであり、
同時に自分も一緒にいたいと言っているように聞こえた。

四人に囲まれるみたいな空気。
甘いのに逃げ場がなくて、美月は完全に固まってしまう。

その時だった。

「ずいぶん楽しそうだな」

ひやりと空気を切るような声が、教室の後ろから落ちた。

九条ルカだった。
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