【試し読み】転生公女は任期満了に伴い家族の元に帰らせていただきます~役立たずと捨てられましたが、『星詠み』は国を守る希少スキルですよ?~
 世継ぎの問題があるので、子供は産むことになるだろう。
 だが、世継ぎさえ生まれたら、夫婦仲は完全に冷え切ったものになるに違いない。少なくとも、チェスターが態度を変えることはないだろう。そう思う。
 何故ならチェスターは、恋多き男だった。
 顔立ちが整っていることに加え、王太子という至上の地位にいることなどもあり、彼は非常にモテるらしい。
 正直なところ、わたしはこの軽薄で短慮の男のどこに魅力があるのかさっぱりわからなかったが、身分と顔だけでのぼせ上がる女性は多いということだ。
 婚約者としてこの国に来て四年。
 彼に恋人がいなかった日はないくらい、常に彼の側には女がいた。しかも、噂になったと思えば破局しており、次の相手といちゃこらしている。こんな調子で、わたしが把握していただけで二十人はいただろう。
 結婚後もこの調子なのは目に見えているので、わたしは彼にまるで期待はしていなかった。
 それどころか、いつぞやチェスターの婚外子が現れて、わたしに世話を押し付けられる可能性すらあった。
 子供は嫌いではないが、それとこれとは話は別。
 さすがにそこまで都合よく扱われるのは我慢ならないし、子供があまりにも不(ふ)憫(びん)である。
 この国では婚外子に王位継承権は与えられないため、もしもそうなれば、どれだけ城が荒れるのか、スキルを使わなくても手に取るようにわかった。
 ここまで叙述したことでわかる通り、わたしはチェスターとの結婚にこれっぽっちも希望を抱いていないどころか、絶望しかないと思っていたのだ。
 半ば幽閉され、未来を占う道具として扱われ、クズと呼んでも過言ではない最低男の婚約者の、これまた最低な噂を連日のように耳にして、時折顔を合わせれば侮蔑を含んだ表情を向けられる。この四年間の屈辱とストレスを、おわかりいただけただろうか。
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