悲恋の大空 同級生編
第1章「琥珀」

第1話「再び始まる日」

 ── だから私は、取り戻さなければいけない。



[???]
 「私は誰?」



 こんにちは、主人公さん。


 あなたの名前を入力してね。



[???]
 「私は」



 あさくら、そら。


 朝蔵(あさくら)、大空(そら)。



[朝蔵 大空]
 「ここはどこ」



 私は、どこに存在している?



[アリリオ]
 「ゲームステーションへようこそ!」


[朝蔵 大空]
 「ひゃっ!?」


[アリリオ]
 「ゲームマスターの、アリリオです!」



 幼い少年が、私の目の前に現れる。


 緑がかったシルバーの髪、大きな目にオレンジの瞳の、個性的な服装をした怪しい少年。



[朝蔵 大空]
 「ア……」


[アリリオ]
 「ここでは、色んなジャンルのゲームが遊べるよ! RPGに、格ゲー、パズルゲームから豪華なカジノまで!!」


[朝蔵 大空]
 「……」


[アリリオ]
 「そして今回、お客様にプレイしてほしいゲームはこれ! ……【悲恋(ひれん)の大空(おおぞら) 同級生編】!!」


[朝蔵 大空]
 「アリリオくん……」



 ひとりで気持ち良く喋っているアリリオくんに、背後から声を掛ける。



[アリリオ]
 「なぁに、主人公さん??」


[朝蔵 大空]
 「ゲームって、どう言うこと?」


[アリリオ]
 「えっとね、このゲームは……超リアル体験型恋愛シミュレーションゲームなんだよ!」



 " 超リアル体験型恋愛シミュレーションゲーム "??



[朝蔵 大空]
 「ごめん、それだけじゃよく分からない」


[アリリオ]
 「そうだね! そしたらゲーム説明文を読んでみよ〜♪」


[朝蔵 大空]
 「そんなのあるの……」


[アリリオ]
 「読むよ!」



 ── この春から、高校2年生になった貴女……貴女が通っている学校は、変人ばかりと有名な【私立 土屋高】。



[朝蔵 大空]
 「えっ!?」



 非凡な貴女は、ある日を境にモテ期到来?! 個性豊かな癖強イケメン達は、貴女に夢中〜!! 誰と結ばれるかは、貴女次第♡



[朝蔵 大空]
 「ちょっ……」



 ※(このゲームは、過激な暴力表現、ショッキングなシーンがあります)。

 

[朝蔵 大空]
 「ちょっと待って!」


[アリリオ]
 「どしたん?」


[朝蔵 大空]
 「なんか、私の境遇と凄く似てるんですけど!! と言うか、【土屋高】って私が実際通ってる学校だし!!」


[アリリオ]
 「そう! このゲームは、君の記憶を元に作っているんだ!」



 私の、記憶……?



[朝蔵 大空]
 「それって……!」


[アリリオ]
 「ごめん! もう、次の展開に行かないといけないから、プロローグはここまで!」



[朝蔵 大空]
 「プロローグ!?」



 この小悪魔、さっきからメタ発言ばっかりなんだけど!?



[アリリオ]
 「オッケー♪ それじゃあさっそく、チュートリアル行ってみよ〜!」



 その時、目の前に不思議な光が現れ、吸い込まれるように私は、その光の中へ……。



[朝蔵 大空]
 「きゃーーー!!」



 そして一瞬、目の前が真っ暗になり、また明るくなる。



[朝蔵 大空]
 「はっ!?」



 ここは、学校の校舎までの道……?



[アリリオ]
 『はい、季節は春。 時間は、午前8時だね!』


[朝蔵 大空]
 「アリリオくん!? どこから喋ってるの?!」



 アリリオくんの声が聞こえるのに、姿はどこにも見当たらない。



[アリリオ]
 『そりゃあそうだよ、ぼくはゲームステーションにいて、君は今ゲームの中……ぼくはそこには存在してないよ〜!』



 つまり、神視点ってこと??



[朝蔵 大空]
 「そうなのね?」


[アリリオ]
 『声が聞こえるのは、君の脳とリンクしてるから! そして君が見ている景色も、ゲームステーションから見えちゃってるよ〜!』


[朝蔵 大空]
 「……」



 なんでこうなったんだっけ?


 私がこうなったのは……アリリオ(悪魔)に魂を奪われたから。


 そして私には以前、卯月(うづき)くんと言う《《天使》》の恋人がいて、互いに真(しん)の意味で愛し合っていた。


 だけど私が、私の弱さが彼を裏切ることになってしまった。


 それで……。



[アリリオ]
 『ねぇ、何ボーッとしてるの? ダメだよそんなんじゃ、こう言うのはテンポが大事なんだから!』


[朝蔵 大空]
 「あ、ごめん」


[アリリオ]
 『んもーぅ、しっかりしてよ《《主人公》》さん!!』


[朝蔵 大空]
 「その、私はまず何をすればいいの?」


[アリリオ]
 『後ろを振り返って!』


[朝蔵 大空]
 「えっ?」



 私は、言われた通り後ろを振り返る、すると……ひとりの人物の姿が見えた。



[古道(こどう) 大悟(だいご)]
 「……」


[朝蔵 大空]
 「あっ」



 あれは、古道先輩!



[アリリオ]
 『恐らく、彼の反応が一番分かりやすいかと……古道大悟に話し掛けてみて!』


[朝蔵 大空]
 「え? う、うん」



 私は、歩いて古道先輩に近付く。


 ……な、なんて話し掛けよう?!



[アリリオ]
 『なんでもいいよ! 「おはようございます」とかさ〜!』



 え、もしかしてアリリオくん、私の心の声聞こえちゃってる感じー?


 うーん、なんかよく分かんないけど。



[朝蔵 大空]
 「お、おはようございます古道先輩!」


[古道 大悟]
 「え……だ、誰?」



 私が古道先輩に挨拶すると、先輩は怯えた様子で一歩後ろに下がった。



[朝蔵 大空]
 「えっ?」



 あれ?!


 古道先輩、今私に『誰?』って言った……?



[古道 大悟]
 「……」



 古道先輩は私の横を通り過ぎ、校舎のほうへと去って行ってしまった。



[朝蔵 大空]
 「ねぇ! 古道先輩に無視されたんだけど?」



 古道先輩、逃げるように走って行った、めっちゃ傷付く!!



[アリリオ]
 『主人公さんが古道大悟と知り合ったのは、いつ?』


[朝蔵 大空]
 「秋頃だったかな」


[アリリオ]
 『だね。 で、今は春だよ?』
 


 それって……。



[アリリオ]
 『つまりね、今君がいる時間軸は……君が古道大悟と知り合う前の、時間軸ってこと!』



 なんか私、タイムリープしちゃったみたい。



[朝蔵 大空]
 「え、でも……古道先輩はなんでここにいるの!? 古道先輩だけ解放してくれたの?!」



 そうだ私は、捕らえられた大切な学友達を取り戻す為にも、この小悪魔に従っている。



[アリリオ]
 『だーかーら、ここはゲームの中! さっきの古道先輩は単なる、ゲームの中の登場人物!  生身の人間じゃないのさ! 周りの人間達も、みーんなハリボテだよ!!』



 そうなんだ?



[朝蔵 大空]
 「不思議な感覚だよ……慣れるまで時間掛かりそー」


[永瀬(ながせ) 里沙(りさ)]
 「何ひとりで喋ってんの?」


[朝蔵 大空]
 「里沙ちゃん!?」



 背後から声を掛けられたと思ったら、そこには私の親友の里沙ちゃんがいた。



[永瀬 里沙]
 「大空?」



 あわわわ……。



[朝蔵 大空]
 「えっと」


[アリリオ]
 『ほらほら! ちゃんと話合わせて〜!』



 う、うん。



[朝蔵 大空]
 「おはよう!」


[永瀬 里沙]
 「おはよー!」



 私は、訳の分からないままただ笑って、里沙ちゃんと教室に向かう。


 私、今世紀最大に『流されてる』よね。



[文島(ふみじま) 秋(あき)]
 「おはよう!」


[木之本(きのもと) 夏樹(なつき)]
 「はよーっす!」



 あっ、木之本くんと文島くんだ。



[狂沢(くるさわ) 蛯斗(えびと)]
 「……」



 遠くの席に狂沢くんもいる、でもこれもみーんなハリボテなんだよね?



[アリリオ]
 『君には、個別ルートに入ってもらうよ』



 ホームルーム中、アリリオくんが話し掛けて来た。


 個別ルートって?



[アリリオ]
 『これは恋愛シミュレーションだからね、各キャラクターのルートを巡って、攻略してもらうのさ♪』


 恋愛!? 攻略!?


 そんな……私は卯月くん一筋なのに、他の男の子と恋愛なんて絶対出来ない!!



[アリリオ]
 『やっぱり " そいつの記憶 " 邪魔だなぁ』





 パチッ。





[朝蔵 大空]
 「うっ……」



 その時一瞬、頭の中心のほうで違和感を感じた。


 今、何したの?



[アリリオ]
 『都合の悪い記憶は預かっておくね』



 アリリオくん?



[アリリオ]
 『さぁ。 最初に君が入るルートは、こっちで勝手に決めさせてもらったよ!』



 ちょっと!



[アリリオ]
 『今日の放課後、保健室に行ってみて?』



 保健室……?


 どう言うことだろ。


 ……。





 キーン♪ コーン♪

 
 カーン♪ コーン♪





 言われた通り、放課後に保健室に来てみたけど……。



[アリリオ]
 『さっ、この先で初イベントがあるよ!』



 一体、何があるって言うの?



[朝蔵 大空]
 「失礼しまーす…………誰もいない」



 保健室の中は凄く静かで、保健室の先生も居なかった。



[アリリオ]
 『よく見て』


[朝蔵 大空]
 「えー?」


[アリリオ]
 『ベッドのほう!』


[朝蔵 大空]
 「ベッド……?」



 私はベッドがあるほうに進んで行き、カーテンを開ける。


 そこには……。



[嫉束(しったば) 界魔(かいま)]
 「すー……すー…………」



 嫉束くんが、ベッドで寝ている。



[朝蔵 大空]
 「嫉束くん?」


[嫉束 界魔]
 「んっ…………え?」



 私が側から話し掛けると、嫉束くんは目を開けてこちらを見た。



[アリリオ]
 『主人公さん! 嫉束界魔は君のこと、知らないからねー! あと、彼もハリボテだからね〜!!』



 はいはい。



[朝蔵 大空]
 「体調悪いの? 大丈夫?」


[嫉束 界魔]
 「えっ?! いや、体調は悪くない……あぁ、僕いつの間にか寝てたみたい」



 そう言うと嫉束くんは、体を起こしてベッドに座る。



[朝蔵 大空]
 「保健委員の仕事?」


[嫉束 界魔]
 「え? そ、そう」


[朝蔵 大空]
 「そうなんだ〜」


[嫉束 界魔]
 「えっと、君の名前は……?」


[朝蔵 大空]
 「私? 私は、朝蔵大空って言います」



 嫉束くんに改めて自己紹介するとか、変な感じ!



[嫉束 界魔]
 「大空ちゃん……君みたいに、普通に話してくれる子初めて……なんか、嬉しいな」





 ホワワワーン。





 ── 花。


 うぇっ、なんか今……変な花みたいなの見えたんだけど!?



[アリリオ]
 『おおっ! さっすが主人公さん! さっそく好感度上がったね! 君はほんとに魔性の女だな〜♪』



 私、何もしてないけど?



[アリリオ]
 『今のは、好感度上がった時の " 演出 "だよ。 君の行動や言葉次第で、対象の好感度が上がっていくのさ』



 なるほど……。



[アリリオ]
 『ちょっと目瞑ってみて!』



 目を瞑ると、視界が真っ暗になる、当たり前だ。


 だから何?



[アリリオ]
 『はい、目開けてみて!』


[朝蔵 大空]
 「わっ……」



 何この『ピンクの棒』みたいなの……何かのメーター?



[アリリオ]
 『見えたでしょ? 好感度メーター! 現在の嫉束界魔の君への好感度は、30%!』



 こ、これを上げろってこと?


 ── 三日月のマーク。


 ん? その下の『紫色の棒』は何?



[アリリオ]
 『んー? それはまだ秘密♡でーす!!』



 なんじゃそりゃ。


 

[嫉束 界魔]
 「じゃあ僕、帰るね」



 そう言って、嫉束くんはベッドから立ち上がり、出口のほうへと歩いて行く。



[アリリオ]
 『ほら主人公さん、あの時のセリフ言ってみたら?』



 あの時……。



[朝蔵 大空]
 「嫉束くん」


[嫉束 界魔]
 「ん、何?」



 私の呼び掛けに、嫉束くんは立ち止まって振り返る。



[朝蔵 大空]
 「私と、友達になって下さい」





 つづく……。
< 1 / 1 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

悲恋の大空

総文字数/450,898

恋愛(逆ハー)91ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
 様子のおかしいイケメン達にチヤホヤされたい夢女子達はいないかー!?
友達の彼女が浮気してました

総文字数/8,815

恋愛(逆ハー)2ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
おーっす、古の夢女子達! 痛いノリ? 上等!!! 極上の愛されがここにある。 これは、オリジナル小説『悲恋の大空』の番外編みたいなものです。 良かったら、本編のほうも覗きに来てね♪

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop