強欲の公爵と呼ばれた元護衛騎士は、私と結婚するためだけに成り上がったらしい
「嘘ではありません。陛下に何年も頼み込んで、殿下の婚約者にして頂いたのです」
弱り果てた声でライカンが言う。腕を離してくれないので、表情までは見えない。
「だって、慕っている相手に対してとる態度じゃなかったわ。避けるし、睨むし、無表情だし‥‥」
溜まった思いを全部出した。抱き竦められたままなので心拍が上がるし、頭に血が登る。
「それは‥‥」
腕が少し緩み、ライカンがアーリアの顔をのぞき込んだ。顔が真っ赤になっていそうで、恥ずかしくて睨むように見返してしまう。
ライカンの瞳に熱が籠る。アーリアは咄嗟に視線を外した。ライカンは息を吐いた。吐息を耳元に感じ、アーリアの心拍数は限界だ。逃げ出したくなり、ライカンの腕を押してみたがびくともしない。
ライカンは吐息と共に口を開いた。
「‥‥‥はぁ。申し訳ありません。避けていた事は謝ります。微笑わなかったのは、その‥‥」
黙ってしまったので、アーリアはライカンに視線を戻した。ライカンは恥ずかしい事をしたように顔を赤らめている。その姿は色気が漂い、見てはいけないものを見てしまった感覚だ。
「護衛騎士を辞めて、殿下に会う機会が減ってしまい、絵姿を見ながら‥‥その、ニヤついている私を見て、妹達が気持ち悪いと言ったので‥‥」
「何ですって?」
「‥‥殿下に気持ち悪いなどと言われたら、私は生きていけません」
小さい声だったがライカンはきっぱりと言い切った。
「ですが、殿下を悲しませる訳にはいきません。気持ち悪いと言われようが、微笑うようにします」
謎の決意を込めて言うライカンに、アーリアの頬が緩む。
「ふ、ふふ‥。何それ」
思わず微笑ってしまったアーリアを、ライカンは蕩けるように見つめた。
「私が微笑えば、殿下も微笑ってくれるのですね」
嬉しそうに言うライカンに、アーリアは何故か恥ずかしくなる。
「それはそうよ。相手に表情がないのに、自分だけ微笑えないでしょう」
ライカンはいっそう笑顔になった。
「その通りです」
ライカンはそのまま噴水に腰掛け、アーリアを自分の膝に座らせた。
「な、重いからやめてちょうだい」
アーリアは身をよじったが、ライカンの腕が腰に周っていて降りることが出来ない。
「あいにくハンカチを忘れました。汚れてしまうので、我慢してください」
「うぅ」
汚れても構わない服なのは、ライカンも分かっているはずだ。観念してアーリアは身を屈めた。屈めた所で体重は変わらないのは分かっているが。
「ところで、どうしてこのような時間に城を出たのです。護衛に聞いて肝が冷えました」
ライカンの言葉に、アーリアは青ざめた。こみ上げた感情が萎れていく。
ライカンはアーリアに少なからず好意を持ってくれている。嬉しかったものの、更に離れ難くなってしまった。今言わなければ、ますます言えなくなる。アーリアは意を決して口を開いた。
「あのね、ライカン。わたくし、私生児みたいなの。だから公爵夫人には相応しくないわ。‥‥貴方とは結婚出来ないの」
「え?」
帝国での私生児への辺りは厳しい。家督を継ぐ事はなく、一生を目立たないよう邸で暮らすかのが殆どだ。
ライカンは驚かず、何か思案している。
「‥‥‥その話は誰から聞きましたか?」
「コンラッド侯爵が話しているのを聞いたの」
ライカンが申し訳なさそうに言う。
「うーん、それは殿下の事ではなく、私の事ですね。私は私生児なのです」
「え、ええっ」
弱り果てた声でライカンが言う。腕を離してくれないので、表情までは見えない。
「だって、慕っている相手に対してとる態度じゃなかったわ。避けるし、睨むし、無表情だし‥‥」
溜まった思いを全部出した。抱き竦められたままなので心拍が上がるし、頭に血が登る。
「それは‥‥」
腕が少し緩み、ライカンがアーリアの顔をのぞき込んだ。顔が真っ赤になっていそうで、恥ずかしくて睨むように見返してしまう。
ライカンの瞳に熱が籠る。アーリアは咄嗟に視線を外した。ライカンは息を吐いた。吐息を耳元に感じ、アーリアの心拍数は限界だ。逃げ出したくなり、ライカンの腕を押してみたがびくともしない。
ライカンは吐息と共に口を開いた。
「‥‥‥はぁ。申し訳ありません。避けていた事は謝ります。微笑わなかったのは、その‥‥」
黙ってしまったので、アーリアはライカンに視線を戻した。ライカンは恥ずかしい事をしたように顔を赤らめている。その姿は色気が漂い、見てはいけないものを見てしまった感覚だ。
「護衛騎士を辞めて、殿下に会う機会が減ってしまい、絵姿を見ながら‥‥その、ニヤついている私を見て、妹達が気持ち悪いと言ったので‥‥」
「何ですって?」
「‥‥殿下に気持ち悪いなどと言われたら、私は生きていけません」
小さい声だったがライカンはきっぱりと言い切った。
「ですが、殿下を悲しませる訳にはいきません。気持ち悪いと言われようが、微笑うようにします」
謎の決意を込めて言うライカンに、アーリアの頬が緩む。
「ふ、ふふ‥。何それ」
思わず微笑ってしまったアーリアを、ライカンは蕩けるように見つめた。
「私が微笑えば、殿下も微笑ってくれるのですね」
嬉しそうに言うライカンに、アーリアは何故か恥ずかしくなる。
「それはそうよ。相手に表情がないのに、自分だけ微笑えないでしょう」
ライカンはいっそう笑顔になった。
「その通りです」
ライカンはそのまま噴水に腰掛け、アーリアを自分の膝に座らせた。
「な、重いからやめてちょうだい」
アーリアは身をよじったが、ライカンの腕が腰に周っていて降りることが出来ない。
「あいにくハンカチを忘れました。汚れてしまうので、我慢してください」
「うぅ」
汚れても構わない服なのは、ライカンも分かっているはずだ。観念してアーリアは身を屈めた。屈めた所で体重は変わらないのは分かっているが。
「ところで、どうしてこのような時間に城を出たのです。護衛に聞いて肝が冷えました」
ライカンの言葉に、アーリアは青ざめた。こみ上げた感情が萎れていく。
ライカンはアーリアに少なからず好意を持ってくれている。嬉しかったものの、更に離れ難くなってしまった。今言わなければ、ますます言えなくなる。アーリアは意を決して口を開いた。
「あのね、ライカン。わたくし、私生児みたいなの。だから公爵夫人には相応しくないわ。‥‥貴方とは結婚出来ないの」
「え?」
帝国での私生児への辺りは厳しい。家督を継ぐ事はなく、一生を目立たないよう邸で暮らすかのが殆どだ。
ライカンは驚かず、何か思案している。
「‥‥‥その話は誰から聞きましたか?」
「コンラッド侯爵が話しているのを聞いたの」
ライカンが申し訳なさそうに言う。
「うーん、それは殿下の事ではなく、私の事ですね。私は私生児なのです」
「え、ええっ」