忘却魔女ミゼリアの恋煩い〜記憶喪失中につき、あなたの呪いは解けません〜
「違うだろミゼリア。おまえの本来の役目は世話係じゃない。俺の不老不死の呪いを解くことだろうが!」
青年がテーブルにダンッと拳を打ちつける。
ミゼリアは目を見開いてビクリと肩を揺らした。
しまった。少し怒りすぎただろうか。
「今のは……」
青年が謝罪しようと口を開きかけると、その前に黄色い声が上がった。
「きゃああっ、怒ったリシュアス様もめちゃくちゃ格好いい! 好き~!!」
顔を上げたミゼリアは両頬に手を添えてくねくねと身をよじる。
自分の想像とかけ離れた反応にリシュアスは目を丸くした。
それから、げんなりした顔でこめかみに手をあてると天井を仰ぐ。
「おまえのままごとに付き合うつもりは毛頭ない。仮にも魔女ならさっさと記憶を取り戻し、力の使い方を思い出せ!」
苦言を呈するリシュアスに対して、ミゼリアは唇を尖らせる。
「それは重々承知しております。私だってできることなら力を使ってリシュアス様の呪いを解きたいですよ。でも、それができない間は、お世話係として仕えるのがお役目です。そう、リシュアス様専属のお世話係として!」
ミゼリアは専属という部分を強調する。
「……本当に思い出す気はあるんだろうな」
リシュアスがジトッとした目でミゼリアを見る。
しかし、当の本人はまるで話を聞いていなかった。