恋の模範解答を教えて~年下君の甘い執着に落とされまして~【完結】
「ええ。作業服を着て、黙々と廊下や給湯室を掃除していました。誰も俺が会長の養子だなんて知らないし、挨拶しても素通りしていく社員がほとんどでした。でも、和香さんだけは違ったんです」
帆高の指先が、和香の頬を撫でる。
「和香さんは、どんなに忙しくても、作業服を着た俺にいつも真っ直ぐ目を見て『お疲れ様です』って笑顔で声をかけてくれた。それだけじゃありません。いつも給湯室を掃除していた年配の清掃員の女性にも、すごく気さくに、楽しそうに話しかけていましたよね。相手が誰であっても、肩書きや立場なんて関係なく、いつだって平等で、温かかった」
ベッドの小さな明かりに照らされた帆高の瞳が、熱を帯びて和香を見つめる。
「誰に対しても分け隔てなく優しくて、一生懸命で、誇りを持って仕事をしている。そんな和香さんの姿を見るたび、目が離せなくなっていったんです。いつの間にか、自分でも抑えきれないくらい、一目惚れしていました」
「帆高君、」
ずっと前から自分を見つめていてくれた彼の真摯な想いを知り、和香の胸に熱いものがこみ上げていく。