恋の模範解答を教えて~年下君の甘い執着に落とされまして~【完結】
 少しだけ帰宅が遅くなってしまったけれど、今夜の帆高は仕事の会食に出かけているため、彼の帰宅も遅いはずだ。 正直に言えば、今夜に関してはその方が都合が良かった。
だって、菜子さんに呼び出された件を、どう帆高くんに話せばいいのか分からなかったから。
 連日多忙を極めている彼に、これ以上余計な心配や負担をかけたくない。
“自分で解決できることは自分でしたい”という思いもあった。それに、解決もなにも、私たちはすでに籍を入れた正式な夫婦なのだ。
(……私から菜子さんに言えることは、もう全部言ったものね)

「久東帆高は私の夫だから、不貞行為にあたる行動はやめてほしい」とキッパリ告げた以上、これ以上彼女から何か言ってくることもないだろう。 自分の中でそう折り合いをつけると、和香はその夜、シャワーを浴びて早めにベッドへと潜り込んだ。

…―…
…

 翌朝。パチリと目を覚ますと、昨夜遅くに帰宅したはずの帆高が、すでに和香よりも早く起き上がっていた。

「帆高くん……おはよう」
「おはようございます、和香さん。まだ無理して起きなくていいですよ」

 帆高はすでにビシッと仕立ての良いワイシャツに身を包み、鏡の前で手慣れた仕草でネクタイを締めている。寝起きでボサボサの髪のままの自分と見比べ、和香は慌ててベッドから体を起こした。

「でも、帆高くん…、私、朝ごはんの準備…、」
「今日急に出張が入ってしまって。早朝の飛行機を予約しているので、俺の方が先に出ることになってしまったんです。起こしてしまってすみません」
「ううん、そんなの全然いいんだけど……」
焦る和香の元へ歩み寄ると、帆高は「ふふ」と愛おしそうに目元を和らげた。
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