恋の模範解答を教えて~年下君の甘い執着に落とされまして~【完結】
「ふっ……。そろそろお開きにしましょうか。水瀬和香さんという人が、どんな人物なのか少し分かってきました」
「分からなくて結構です!言っておきますけど、私はあなたとは絶対に!結婚なんてしませんからね!」

 子供のように『ベー』と小さく舌を出してみせる和香。
それを見た神楽坂は、今までの冷徹なビジネスマンの顔を崩し、珍しく白い歯を見せて楽しそうに笑った。

「ははっ…、面白い人だ。失礼、笑ってしまいました」

 神楽坂が軽く手を挙げると、すかさずウェイターが静かに近づいてくる。彼がお会計を済ませようとするのを見て、和香は即座にぶんぶんと首を振った。

「自分の食べた分は、自分で払います!」
「いいですよ。私からお誘いしたのですから」
「神楽坂さんに借りができるみたいで、絶対に嫌です!」
和香はバッグから財布を取り出すと、中に入っていた現金をごっそりとテーブルに出した。
「和香さん、いいですって。これじゃあ半分にも足りませんし」
「……ぐ、す、すみません。じゃあ…お会計を分けてもらいます。残りはカードで払いますから!」
「そんなことをしたら店の人に迷惑でしょう。ここは私が払います。……その代わり、また会いましょう」
「嫌です!」
「いいえ、結構です」

 結局、スマートにカード決済を済まされてしまい、和香は不服そうに唇を尖らせた。
 ほんのりと体に残るアルコールの温かさと、自分の不甲斐なさへの悔しさを抱えたまま、和香は神楽坂の後を追うようにして店をあとにしたのだった。

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