俺様で冷徹なハイスペック医師は ツンデレで不器用で激甘な素顔を隠せない
「……自覚が足りない。夜間の外来エリアは空調が落ちて冷える。主治医に無駄な心配をかけるな」

​葵は微笑んだ。

「律先生……。ありがとうございます」

​そっけない言葉とは裏腹に、膝掛けを整えてくれる律の長くて美しい指先はどこまでも優しい。

​律は葵の隣に深く腰掛け、栞を挟んであった洋書のページを静かに開いた。

​「……少しだけ、ここで読書をしていく。お前も息が整うまで付き合え」

​「はい。……あの、律先生、その本は?」

​「……最新の心筋再生医療に関する原書だ。……お前の将来的な予後を完全に担保するための知識を、常に見落とさないようにしているだけだ。お前のためというより、俺の知識欲を満たすためだが」

​律はツンと視線を本に向けたまま、淡々と強がった。

葵が「ふふ」と小さく笑った。

律は本を持たない方の手で、膝掛けの上から葵の手をそっと自分の長い指で包みこんだ。
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