想定外につき、対処不要
翌朝。目を開けると、夢の狭間にいるようで、軽く首を振った。そこから、眼鏡を手にして掛けると、漸く落ち着きを取り戻した。
いや、落ち着いている場合ではない。今日は支社に行って、スケジュールの確認をしないとならない。通常であれば本社に行くほうが確実だが、人事部の上役に見つかれば煩い小言を聞くことになる。
仕事上の指摘は当然のことだが、担当業務にまで及ぶと厄介だ。そう結論付けたところで、おもむろに立ち上がり、クローゼットに向かった。
静かに扉を開け、紺色のスーツに指を掛けたが、少し暗めの色に思い直した。着替えを済ませ、寝室から抜け出し、リビングに行くと、キッチンに彼女が立っていた。
なぜだ。俺は直ぐに時計を確かめた。現在の時刻は8時。そろそろ出なければ、現場に間に合わない。遅刻をさせる訳にはいかない、と俺は車の鍵を手にして口を開いた瞬間だった。
「おはよ。そろそろ行くね。朝御飯ちゃんと食べてね」
そう言って彼女はキッチンから抜け出し、俺のそばに来ると、足を止めた。そして彼女は目を丸くさせ、俺のほうを見てきた。
「おはよう、ございます。どうかしましたか」思わず声に出すと、彼女は口を開いた。
「ゴミついてるから、しゃがんで」
そこで俺が軽く頭を下げると、彼女の唇が頬に当たった。
なんだ、これは……。
「行ってきます」彼女は言ってから、俺の頭を軽く撫でると、直ぐにその場から去って行った。
俺は引き止めることも出来ず、身を固めていた。だが、直ぐに力強く息を吐き出した。朝の隙は今後のミスに繋がると考え、先に洗面所に向かった。
まだ俺は目が覚めていない。そう思って、顔を洗った。そこから歯も磨いて、髪の毛を整え、3回ほど念入りにチェックした。
顔にゴミや寝跡は無し、寝癖も付いていない。髭は元々薄いし、鼻毛も出ていないようだ。よし、完璧だ。朝御飯を食べて出社しよう。
リビングに向かい、キッチンの傍にあるダイニングテーブルの前に立った。そこには朝に相応しく、綺麗な朝食が並べられていた。
出来たてのカレーグラタン、小さな皿に盛られた彩りの良いサラダ。珈琲に箸、スプーンまで添えられている。
やはり、彼女には敵わない、と思いながら、席に腰を下ろし、スプーンを手にした。
「いただきます」そう口にしたとき、俺の口角は自然と上がっていた。
いや、落ち着いている場合ではない。今日は支社に行って、スケジュールの確認をしないとならない。通常であれば本社に行くほうが確実だが、人事部の上役に見つかれば煩い小言を聞くことになる。
仕事上の指摘は当然のことだが、担当業務にまで及ぶと厄介だ。そう結論付けたところで、おもむろに立ち上がり、クローゼットに向かった。
静かに扉を開け、紺色のスーツに指を掛けたが、少し暗めの色に思い直した。着替えを済ませ、寝室から抜け出し、リビングに行くと、キッチンに彼女が立っていた。
なぜだ。俺は直ぐに時計を確かめた。現在の時刻は8時。そろそろ出なければ、現場に間に合わない。遅刻をさせる訳にはいかない、と俺は車の鍵を手にして口を開いた瞬間だった。
「おはよ。そろそろ行くね。朝御飯ちゃんと食べてね」
そう言って彼女はキッチンから抜け出し、俺のそばに来ると、足を止めた。そして彼女は目を丸くさせ、俺のほうを見てきた。
「おはよう、ございます。どうかしましたか」思わず声に出すと、彼女は口を開いた。
「ゴミついてるから、しゃがんで」
そこで俺が軽く頭を下げると、彼女の唇が頬に当たった。
なんだ、これは……。
「行ってきます」彼女は言ってから、俺の頭を軽く撫でると、直ぐにその場から去って行った。
俺は引き止めることも出来ず、身を固めていた。だが、直ぐに力強く息を吐き出した。朝の隙は今後のミスに繋がると考え、先に洗面所に向かった。
まだ俺は目が覚めていない。そう思って、顔を洗った。そこから歯も磨いて、髪の毛を整え、3回ほど念入りにチェックした。
顔にゴミや寝跡は無し、寝癖も付いていない。髭は元々薄いし、鼻毛も出ていないようだ。よし、完璧だ。朝御飯を食べて出社しよう。
リビングに向かい、キッチンの傍にあるダイニングテーブルの前に立った。そこには朝に相応しく、綺麗な朝食が並べられていた。
出来たてのカレーグラタン、小さな皿に盛られた彩りの良いサラダ。珈琲に箸、スプーンまで添えられている。
やはり、彼女には敵わない、と思いながら、席に腰を下ろし、スプーンを手にした。
「いただきます」そう口にしたとき、俺の口角は自然と上がっていた。