冷遇令嬢ですが、前世の知識と先見の力で運命の王第殿下と新しい国を作ります。
一人称が俺になっている。焦っているマキシミリアンも可愛い。

「だって、交渉に失敗したら王家との縁を切って二人で亡命しようって言っていたのに…」

「そうだ、その気持ちは変わっていない。あのくそ兄貴にはがっかりした」

「私を暗殺しようとしたのですよ。宰相様が説得して国外退去で済ませてくれなければ、今頃海の藻屑となっていたわ」

それを聞いたマキシミリアンは唖然としてしばらく口をきけなかった。

国王が暗殺しようとしていたなんて知らなかった。

マキシミリアンは涙を流しながらジャスミンを抱きしめて、膝の上に座らせた。

ジャスミンの髪に頬を寄せて彼女の匂いを嗅いでジャスミンが自分の腕の中にいる事が実感できた。

この国に来てホテルに一泊もすることもなくジャスミンに会えたのは運命によって導かれたのだろうとマキシミリアンは神に感謝した。

「ああ、ジャスミンごめん。あいつそんな事を考えていたなんて、もう兄でも弟でもない。君に苦労ばかり掛けて守ってやれなかった。俺の責任でもあるな」

「そうよ。マキシム様の責任よ。フレデイ達が何も教えてくれなくて味方になってくれないのは仕方がないでしょう?彼らも色々大変だったのよ」

マキシミリアンは顔色を青くしてすっかりうなだれてしまったが、抱きしめたジャスミンを離す気はなかった。

ジャスミンは可哀そうになってもう攻めるのはやめにした。

マキシミリアンはジャスミンの態度が軟化したのを感じるとすぐに彼女にキスをした。

「うう~ん、もう油断も隙も無いわね。さっきまでしょんぼりとしていたくせに…」

それでもマキシミリアンはジャスミンを抱きしめてキスする事を止めなかった。

何度も何度も角度を変えてジャスミンに舌を絡めて息つく暇も与えなかった。

“はあ、はあ”とジャスミンは息も絶え絶えになっている。

彼女の唇は濡れて真っ赤になり少し腫れてしまっている。

夢中になっているといつの間にか馬車は止まっていた。

マデリアは遠慮がちに外から声を掛けた。

「ジャスミン様離宮に到着いたしました。ドアを開けても?」

家の使用人にはジャスミンと本名で呼んでもらっている・

「ええ、もちろんよ」

そう言うとマキシミリアンの膝から降りた。

マキシミリアンは先に馬車を降りてジャスミンに手を貸して下ろしてくれた。

ジャスミンは立っているのがやっとというくらいに脚が萎えてしまっていた。

「マキシム様、こちらは御者のマデリアです。女性ですけどとても馬の扱いが上手で信用できるのですよ。お庭の普段の手入れもやってくれているのです」

「よろしくマデリア、マキシミリアンだ。すごいなあ女性で御者なんて初めて会った。この国では普通なの?」

「普通と言えるほどではありませんが、結構います。馬が好きなのでこの仕事が楽しいのです。ジャスミン様にもよくして頂いています。よろしくお願いします」

家に入ると住み込みの家政婦のキューインを紹介した。

キューインはマキシミリアンの美貌に少し引いていたがマキシミリアンに聞こえないように

「マキシミリアン様のお食事は?お部屋は?」

「食事がいるようなら私が作るわ。部屋は庭園の見える二階の客室を用意してくれる?」

「かしこまりました」

そういうとキューインはマキシミリアンの大きなバックをお部屋に入れて置きますと言ってマデリアから受け取って部屋に持って行った。

「マキシム様お腹空いていませんか?私もあまりパーテイで食べられなかったので、何か軽く作りましょうか?」

そう言うとマキシミリアンはお腹が空いていたのを思い出した。

「かなり腹ペコだ」

「わかりました。私もパーテイではほとんど食べていないのでしっかりと作りますね」

「久しぶりのジャスミンの料理だ。楽しみだなあ」

それから二人はしっかりと夕食を取って、夜更けまでお互いのこれまでの話をした。
< 76 / 100 >

この作品をシェア

pagetop