脅迫婚?!~悪い噂の絶えない社長が、実は誠実で一途だったなんて信じられません!~
「先行販売をするとしたら、きっとイズミになるだろうしな」
「社長自ら、休日に視察ですか?」
「そんな大層なものじゃない。デスクワークばかりだと飽きるから、たまには売り場を見たいんだよ。無理にとは言わない、君は俺の部下なわけでもないしな」
突然の誘いに戸惑いはあるが、実店舗を見に行くのは悪くない提案のように思えた。企画のコンセプトやデザインに行き詰まっている今、実際の店舗を見ることでなにかヒントをもらえるかもしれない。
「仕事の延長ですよね? 私が一緒に行って邪魔になりませんか?」
「そう思うなら誘ってない」
「じゃあ……お供します」
「了解。朝は少しゆっくりして、昼前に出発するか」
愛梨が頷いたのを見た理人は、「これ、サンキュ」と淹れたてのマグカップを持ち上げる。
「保守派のおじさんたちとやり合ったんだろ、今日は早めに寝ろよ」