先生はキケンな許嫁。
…そんな決意に反して。


わたしには………年の離れた許嫁(いいなずけ)が存在する。


高2にして社長令嬢のわたしは、生まれたときには既に結婚相手が決まっていた。


顔は知らない。だって会ったことないんだもん。


名前は、確か…士方(ひじかた)碧(みどり)さん。


碧さんのことでわたしが聞いているのは、端正な顔立ちであるということと、職業は高校の教師をしているとのこと。


毎日毎日、この学校に転任してきませんように……と願うばかり。


だってわたしは大の恋愛嫌い。


許嫁なんか論外。どんなにいい人であろうと無理却下。


――キーンコーンカーンコーン…


HRの始まりを告げるチャイム。


ガラッと扉が開いた。


入ってきたのは、担任の広瀬(ひろせ)美波(みなみ)先生。


優しくて美人な先生だ。


その後ろに、高身長で、細身のスーツを着こなした……ん?


電車で会ったあの男の人と似た特徴。


…いやいや、そんなわけない!


「はい、では今日は、新しい先生が来てくれています!自己紹介してもらうので、皆さん席についてください!」


ブルルッと身震いした。


入学してからずっと願い続けてきた、転任に「あの人」だけは来ないでほしいという切実な思いが、今、いとも簡単に壊された。


「―――士方碧です。これからよろしくお願いします」
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