御曹司は頑固な部下を甘やかしたい
「それでなんでキャバクラで働いてるのか聞いてもいい。うちの会社が副業禁止なのは知ってるだろう」
「お金が欲しかった。理由なんてそれだけですよ」

黒部さんは綺麗に整った眉をしかめた。

「うちの会社は大手だ。しかも平手は成績も良い。給料は十分貰えているだろう」
「足りないんです」
「なんでそんなにお金が必要なんだ」

眉間のシワをさらに深め腕を組みながら訊かれる。

「妹の大学の授業料を払うためです」
「え」

予想外の回答だったのだろうか。呆けたような顔をされた。仕事場では決して見れない無防備な顔に驚く。

「大学の授業料って普通親が払うもじゃない。もしくは奨学金を借りるとか」
「父が4ヶ月前に他界しました。なのであまり余裕がないんです」

父親がもうこの世にいない。その事実を口にする時胸が傷んだ。

「それは、ご愁傷様です」
「いえ」

気を遣わせてしまうのが申し訳なくて笑顔を作る。すると更に悲しげな顔をされた。
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