天才料理少女は、恋のレシピを知らない
「おっ、あれは修明の久保田王子じゃないですか」

「なにそれ?」

「さすが杏。やっぱり知らないかあ」


褒められているのか、けなされているのかわからない。



「よその学校の子のことを、知ってる方がおかしいと思う」

「あれだけイケメンだったら、知らない方がおかしいって」

「へー」

「出たよ、この恋愛オンチ。まあ、杏の場合は、恋の前に無頓着を直そうか」



莉子ちゃんが、肩下まである私の髪を指先でつまむ。



「せめて、髪はちゃんと毎朝、といてこようね」

「ぼさぼさじゃないから、よくない?」

「よくないです」



二人で言い合いながら歩いていると、目の端で例の子たちがこっちに向かってきたのが見えた。

思わず、莉子ちゃんの背に隠れる。



「どーも。この子の友人です。立ち話もなんですし、ちょっと場所移動しません?」

「えっ、莉子ちゃんどうして?」



がつんと言ってくれるんじゃなかったの?



「まあまあ。私は、灰色の女子校生活を送る気はないから、この機会を逃さないわよ」

「そんなぁ」
< 7 / 29 >

この作品をシェア

pagetop