もし違う時代に出会えたのなら

第一章 塩味のおにぎり

この風は冬だ。冬と夏では風が違う気がする。夏の風は誰かのアツい気持ちを運んでいてそれが私に向けてではないのに通りすがりに私の胸を掴んでいく。それに比べて冬の風は軽くて、掴みたくても掴めない誰かの孤独と切ないメッセージ。 まぁ風に気持ちだのメッセージだのあるわけないけどね(笑)

午前8時、朝食の時間だ。私は十五歳ながら身長も高く大人びているので食堂のおばさんから予科練生たちの朝ごはんを運ぶお仕事をお願いされている。距離は約1キロで朝ごはんは一人おにぎり1個と少ないものの数十個あるから大変だ。でも楽しい。理由は予科練生の人たちは訓令の時にはどこか遠くの海を見るような目をするだけで笑わないけど、休憩中のときは話しかけたり笑ったりしてくれる。感謝されるとはこんできてよかったと思う。

「みなさーん、おにぎり持ってきましたよー。最近また食料が危なくて…一回り小さくなっちゃいました」
私が申し訳なさそうに笑いながら言うと周りに集まってきた。

「いいよそんなの!食べれるだけで感謝しないとね」
「澄香ちゃん今日も来てくれたのかね!ありがとね」

みんな今日も笑顔だ。よかった 。そうして配っていくと一人、ぽつんと壁際に腰掛けてる男の人を見つけた。

「あの…おにぎり貰いました?どーぞ」
私は彼の顔を覚えるように覗きながら声をかけると、彼の重い瞼が開き目が合う。
ーっ、意外とかっこいいー
不覚にもそう思ってしまった。彼の顔からは愛想は感じられない。話しかけるなというように目の奥が訴えかけてくる感覚だ。でもそれ以上に顔が整っている。鼻が高くくっきり二重
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