「氷の天才外科医の激甘な課題添削」 冷徹な外科部長は難攻不落の愛し君だけに甘く狂う
凛は患者の家族が病室を去ったあと、ナースステーションの隅で、小さく息をついた。

​「よかった……本当によかったですね、桐生先生」

凛は公私混同は徹してしない。

病院内でも、勤務中は桐生を蒼真とは呼ばない。

​「あぁ。だが、1番称賛されるべきは、あの修羅場で1度も臆せず俺を支え続けた君自身だ。……よくやったな、凛」

​桐生は周囲の目を盗み、凛の頭をポンと優しく撫でた。

凛はその仕草に、恥ずかしそうにはにかみながら、胸の奥が温かな幸福感で満たされていくのを感じた。

​新人としての洗礼を受け、絶望的なプレッシャーに押し潰されそうになりながらも走り抜けた半年間。

凛は最初は「氷の天才外科医」として恐れられている桐生蒼真という男の隣に、今や「1人の自立したプロの看護師」として、そして「愛されるパートナー」として、しっかりと肩を並べて立っていた。

​「……桐生先生。私、なんだか今なら、どんな大変なオペが来ても怖くない気がします」


< 88 / 96 >

この作品をシェア

pagetop