優しい死神さんと、空気じゃない私
 死神は、電線に集まっていたカラスたちをそっと見上げた。

 するとカラスたちは、一羽、また一羽と、何事もなかったかのように夕空へ静かに飛び去っていく。  

 その光景を目にして、彼は玲奈に『その時』が迫っているわけではないのだと悟った。

 安堵の息を漏らした彼は、助けられた親子に感謝されている玲奈の姿を最後にもうひと目だけ目に焼き付けると、雑踏の中に溶け込むように立ち去っていくのだった。
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