幼稚な馬鹿婚約者をざまぁする
「お前はどうしてこの僕の言うことが聞けないのだ!立派な婚約者である僕の言うことを聞くことが将来の妻になるお前の務めだろうが!」



 はぁ……


 何の寝言を言ってることやら……



 ところで私は子爵家の娘、アンナ、あいつは不本意ながらお父様が決めた政略結婚の相手の侯爵家の出来損ないのムノーである。



 ちなみに今回あいつがブチ切れている理由は、私がもらったブローチと服の両方をつけてこなかったからである。


 ブローチだけはつけていったのだが。



 これについて、もらった以上付けていくのが礼儀だろう、こういうことを思う奴がいるかもしれない。


 だがはっきり言い切ろう、明らかにブローチと服が絶対的に合っておらず、片方ならば別に悪いものでは無いのだが、両方同時に着てつけることにすると、最悪のセンスになるからだ。


 だから今回はブローチはつけて、それに合いそうな服を私が持っている範囲からチョイスしたに過ぎない!



 この馬鹿は私が恥をかいてもいいというのだろうか?


 それに、ダサい婚約者がいるって汚名を、お前自身が買ってもいいと思っているのだろうか?


 本当に心底間抜けである。


 もしも同時につけて欲しいのなら最初から合いそうなもの、せめて露骨にお互い妨害しあわないものをよこせっつうの!



 そしてもう1つこれは贅沢かもしれないが、こんな些細なことでイチイチ切れ散らかすボケってだけでもう私はウンザリしているのだ。


 アホらしい、服やブローチの1つがどうしたってんだ!


 さらに一切何もつけてこないのならば、喧嘩売ってるのか?って勝手に勘違いするのはまだ分かるが、ちゃんとブローチはつけてきて、それにできるだけ合いそうな服で来てるだろうがボケが!


 もうそれでこんな不満を言われるのにウンザリなのである!




「あの服とあのブローチは同時にすると合わないから、今回はブローチにしたのです!」



「黙れ!僕は僕のプレゼントを全部つけてこいと言っただろう!どうして聞けないのだ!」



「だから同時だと合わないからそうしたと何度言わせるのです?」




「だから僕がそうしろって言ったのだから聞けって言っているのだ!」




 だからそれが有害だから聞きたいくねぇんだよこのカス!


 マジで堂々巡りにしかならねぇ。


 心底頭が悪い。


 だから侯爵家にも拘らず、同格の貴族では相手が見つからずに、うちみたいな子爵家に回されるんだ!


 馬鹿なお父様が侯爵様にまんまと乗せられてこんなことになってしまったんだ!


 お父様は雑談から上手くまとめてきたとか言ってるが、侯爵様ともあろうものが、たかが雑談で大事なことを決めるわけもなく、きっとこれは私の予想だが、このムノーの相手が見つからずに困っていた所、お父様が乗り気風だから、この際下位貴族であっても恩を売れると思って応じたに違いない!


 流石に抜け目無い貴族である!




「ではムノー様はあのブローチと服が同時であっても合うとお考えなのですか?」




「そんなことは言ってないこの馬鹿!僕がそうしろと言ったら聞けと言ってるんだ!」



 何なんだこいつ、お前の言ってることに正当性があるから聞けならばわかるが、お前がそうしろって言ったら聞けなんて通すわけねぇだろ。


 だったらお前が自殺しろって私に言ったら私は死なないといけねぇだろうが!


 カスが!無能が!ゴミが!ろくでなしが!


 何寝言を言ってるんだこいつは!



 何で無条件に言いなりにならないといけないなんて戯言が通ると思うのか。


 根源的論外である!



「つまりムノー様はムノー様が私に死ねと言えば自害しろって言いたいので?」


 あまりにクソみたいな主張をされたので根本的な嫌味を言ってやった!




「そうだ!この僕が死ねと言えば死ぬべきだ!だが僕を信じてもらいたいね、だって僕は立派な男だ!そんなことを言うわけが無い!」



 はぁ??????????????????????????????



 立派な男が一方的に命令を聞け何て言う分けねぇだろボケカスが!



 この時点で仮にどんな性善説者であっても、お前だけは信じねぇよ馬鹿が!



 ましてお花畑じゃない私が信じる分けねぇだろ無能が!



 マジでこいつ頭おかしい……



 どこからどこまで破綻してやがる……



 しかし私は1つの仮説が浮かんだ……



 こいつが根源的にガキなだけでは?



 だから僕が偉いんだ!何故なら僕が決めたからなんだ!



 こう言う自分で自分を肯定したら、それが全世界に通じるみたいな、超狭い価値観で生きているだけでは?


 これならば全部辻褄が通る!


 試してみよう!



「その立派ってのは誰が決めたんですか?」




「僕が立派なのは見れば分かるだろ!」




「いや私には分からないので誰が決めたのでしょうか?」




「そんなもの誰が見たって分かるだろうが!」



「その誰がに私は該当してないので教えて下さいよ!」



「馬鹿者!決まったものは決まったんだ!」




「だから誰が決めたんだよ!」




「馬鹿者!この僕がそう言ってるんだ!立派な僕がそうだと言えば立派に決まってるだろうが!」




 ……こいつ超バカだろ。立派な根拠を誰が決めたと聞いているのに、立派な僕が決めたって、完全に循環というか堂々巡り論法だろうが!!!!!!!!!!!!!!!(笑)



 その最初の決定の根拠を聞いているのに、いつから決まった前提にすり替わってるんだよ。



 マジで本気で頭が悪い。



 もう嫌だ、絶対に婚約破棄してやる!

 しかも私の非にならないようにだ!


 絶対にやってやる!



 私は今全世界に誓いを立てたのであった!


 だってあのボケが、自分の脳内が全世界って価値観だから同じことをしてやるよ(笑)



「つまりムノー様は立派なんですね?」




「そうだ!やっと分かったでは無いか!」



 馬鹿が引っかかったなこのまま無限に拡張して自爆させてやるよ!




「ならば立派ならば自分で何でも決めていいってことですよね?」




「そうなるな!だから僕にお前は従うべきなのだ!」




「分かりました、ではそういうことにします!」




 ざまぁみろお前にもう罠は仕掛け済みだ!






 そして違う機会に一応私でもギリギリ接することができる第三王子様がいる。


 もちろん気楽に接することはできないのだが、王太子様では無く本人が親しみやすいお方であるので、何て言うか、私と辛うじて面識があるのだ!



 第三王子様に頼むことができた!




「お忙しい所失礼します、私第三王子様に命令をしていただきたいのです?」




「何だと言うのだ藪から棒に!下らないことならば断わるからな!」



「ああ大丈夫です、第三王子様に迷惑など決してかけません!」



「ではなんだ?さっさと言いなさい!」



 偉そうな言い方をしているが、なんだかんだ話を聞いてくれるだけでも、私のような下位貴族からしたら王家にしては親しみやすいことになるのだ!


 これが王太子様とかだと怖くてよほどの用が無い限り話しかける雰囲気すら無理である!(笑)





「私にこの服とこのブローチを同時に付けることを禁じて下さい、だってこれセンス悪いでしょう?」



 例のプレゼントを2つ同時につけて見せる……




「うーむ確かに合わないなぁでも別に禁止することか?つけたいのなら勝手にしろよ」





「いいえ、私としては恥ずかしいのですが、ついもったいないとか思ってつけてしまう愚かな心があるので、そこを第三王子様の威厳でビシっと禁止されれば、私もその情けない精神を粉砕できると思うのです!」




「……しょうがない奴め!いいだろう!そのブローチと服を同時につけることを禁止する!」



「ははー!流石第三王子様、ありがたき幸せ!臣はそれを守ることを誓いまする!」



 わーっはっはっはっはこれで勝ったぞ!




 そして次にムノーに会った時に今度は服だけつけたのだが、当然奴はブチ切れる!




「何度言わせるんだ!僕が立派で従うと言っただろう?何故従わないのだ!」




「すみません、何があってもムノー様に従うべきでしょうか?」




「そうだ!何があろうが僕に従うのは絶対だ!絶対に絶対だ!例外など許さん!」




「分かりました、では第三王子様の命令に反することになるのですが、私もムノー様も逆賊になるのですがよろしいので?」



「え!?」



 意味が分からないって顔をしているが、私は言ってやる!



「今例外無しって言いましたよね?つまり第三王子様の命令よりもムノー様が偉いってことですよね?うわーそれは間違いなく王家への謀反だ!大変だ!私はこんな奴と婚約者なんてできるどころではなく、一臣下としてムノー様のいやムノーの謀反をお伝えせねば!!!!!!! いざさらば!」



「待たんかい!」



 物凄い勢いで追いかけてくるが、私も全力で逃げる!



 そして私は追いつかれてしまったのだが、謀反だ謀反だ!と騒ぐので、


 ムノーのボケが私を無理やり押さえつけようとしているのを、他の貴族に注目されている!



 いいぞ!もっと大ごとになれ!




 こうしてムノーがいくら婚約者とはいえ白昼堂々と乱暴をしたって事が問題になったのであった!



 性的な暴行では無いが暴力的な意味でである!


 よって相手がいかに婚約者と言えど、性的に我慢できなかったからっていう男の言い訳みたいな論調も一切通らずに、最初からムノーは圧倒的に不利であった!



 さらにだ、何故そんなことをしたのか?


 これは私がムノーが謀反者だと言うのを止めようとした!そういう自分が困ることを止めようとしただけに過ぎないので、何から何まで詰みである!



 第三王子様が話を聞きつけて言う。



「なるほどそういうことか、しょうもない奴らめ!まぁその程度で王家への謀反と言う気は無いが、ムノーよ、お前のような戯けは問題では無いか?反省せよ!」



 このように言われたので、侯爵家も、元々ムノーを持て余していたのもあって、引退させたのであった!


 当然婚約も破棄された。ざまぁみろ!



 お前みたいな奴は貴族どころか人間失格で、自分が偉いと決めたから偉い?そんなの幼児だって言わねぇよ!
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